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U35のイノベーターたちがスタートアップの経営で学んだこと
Simoul Alva
シリコンバレー 無料会員限定
Six tales from the trenches of running a startup

U35のイノベーターたちがスタートアップの経営で学んだこと

MITテクノロジーレビューの「35歳未満のイノベーター35人」の受賞者6人に、受賞後に学んだことを尋ねた。 by The Editors2021.02.16

Innovation Issue
この記事はマガジン「Innovation Issue」に収録されています。 マガジンの紹介

「他の人たちの言葉を学ぶ」

ナビハ・サクライェン(2018年選出)

レーザーを使って幹細胞の「プログラミング」をするセリノ・バイオテック(Cellino Biotech)の共同創業者。

私は、起業家が何を意味するかを知らずに起業家になった。ハーバード大学医学大学院(Harvard Medical School)での共同研究者は、私の物理学の視点が生物学における課題を解決する可能性を見抜き、私に起業家への道を強く勧めた。しかし、暗いレーザー実験室での博士号取得の年月は過酷で、スタートアップ企業の道へ進む備えはできなかった。潜在的な顧客、投資家、業界の有力者に、私が追い求めるものに参加してもらえるように、説得することを学ばなければならなかった。また、企業経営や優秀な人材の採用、時にはそういった人材を手放すことを学ばなければならなかった。私が学んだ一番大事なことは、イノベーションというものが、人々とコミュニケーションを取る能力、さらにはその人たちと異なる視点を持った人々とのコミュニケーションを促す能力に大きく依存することだ。

我々の会社は、再生医療のための高品質な細胞や組織を生成するプラットフォームを構築した。その追求には複数の専門分野が関わってくる。つまり、この会社の誰もが異なる言葉を持つ専門家だということだ。幹細胞生物学の達人もいれば、光工学や機械学習に精通している人もいる。この会社を始めた当時、同じ屋根の下で生物学と工学の仕事はできなかった。共有スペースに移ることができたとき、ようやく互いの用語を学び、より強力に連携するようになった。そして現在は全員が別々に仕事をしているが、過去のプロセスで築かれた絆は物事の対処に役立っている。机を囲んで技術的な詳細を議論できなくなったが、新しい共同作業の方法を学んだ。新型コロナウイルスが猛威を振るう世の中でも、チームとしての同調の維持が重要であり、それが何にも換えられない正しいことだと初めて感じた。

「私が進む人とは違う道」

ステファニー・ランプキン(2016年選出)

求人応募者の氏名や写真を初期段階では伏せて、無意識のバイアスを減らす求人検索プラットフォーム、ブレンドア(Blendoor)の創業者。

13歳でコーディングを始めた私は、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、マイクロソフトというキャリアを歩んできた。かつて私は、人文科学と社会科学の教育を「あればいい」が、「必要なもの」ではないと考えていた。不平等な厳しい現実と実力主義のパラドックスに直面して、私は人工知能(AI)が人類としてのもっとも困難な多くの問題を解決するには、ほど遠いことを初めて悟った。問題とは、例えば、外国人排斥、性差別、人種差別、同性愛嫌悪、インポスター症候群(自己肯定できない心理的傾向)、無意識のバイアスなどだ。

創造性や採用、規模に影響を与える外部性は、往々にしてイノベーションそれ自体よりも重要だ。イノベーターとして成功するために、人々は地球規模で起きていることを、間違いなく理解していなければならない(あるいは本当に運がいいか、さらに良いのはその両方だ)。ベンチャー・キャピタルは、一部のイノベーターの学習曲線を縮めてきたが、バイアスが多くのイノベーターのベンチャー・キャピタルへのアクセスを制限している。無意識のバイアスはいわば無臭ガスのようなもので、ほとんどの人には知覚できないが、蔓延し、そして致命的だ。

イノベーションのエコシステムを最適化するためには、機関投資家は競争の場を平準化することにより多くの投資をしなければならない。今日、そして多くの過去の記録において、イノベーションは中流および上流階級家庭の子どもたちのためのものであった(10億ドル以上の価値がある企業の創業者を調べれば分かる)。「必要は発明の母」ということわざはすばらしいが、大抵の場合、「窮状による必要性をもっとも抱えて」成長した人たちは、持っている知性に関係なく、イノベーションのゲームから除外される。あらゆるゲームがそうであるように、参入障壁が低く、ルールや基準が等しく適用され、全体的な高い透明性が確保されたときに、最高のプレイヤーは出現するものだ。

かつて公民権活動家のオードリー・ロードは、「主人の道具で主人の家を解体することはできない」と書いた。

私は身長が低く、皮膚の色が黒く、地球上で風変わりな女性である。ある意味で、人は「他人から見えない」ときのほうが革新的でいやすい。しかし、ある時点で、資本、チーム、メンターといった規模を拡大するための手段が必要となる。今になって分かった、もっと早く気づいていれば良かったことのひとつは、必要な手段を得るために私が進む道は、他の人が進む道とはだ …

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MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

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