フラッシュ2023年7月25日
-
東大、ポリマーが丸まるエネルギーを利用した熱化学電池
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、ポリマーが丸まるエネルギーを利用した熱化学電池を開発し、小さな温度差から大きな電圧を発生させることに成功した。熱化学電池は、熱を電気に変換する熱電変換素子の一種であり、最近になって急速に性能を向上させている。
研究チームは、高分子が見せる「ほんのわずかな温度差で性質を大きく変える」相転移現象に着目。温度によって伸びたり丸まったりと、形状と性質を変化させるコイル・グロビュール転移を示すPNIPAM(ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド))と呼ぶポリマーに、酸化還元反応を示すビオロゲン(N,N’-アルキル-4,4’ビピリジン)と呼ぶ官能基を導入した。その結果、このポリマーは45℃程度で相転移(丸まる)し、還元すると25℃程度で丸まることが明らかになった。
作成したポリマーを水に溶かし、電極を2本挿入して電極間に温度差を作ったところ、低温ではゼーベック係数が0.09mV/Kと低い値だったのが、35℃付近から値が急激に上昇し、最大で2.1mV/Kにまで達することが分かった。この現象は、ポリマーが高温では丸まり、そして丸まっているときは電子を受け取る(還元)性質を持っており、高温側の電極で電子を受け取り、低温側では電子を放出するためだという。
研究成果は6月14日、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- This scientist rewarmed and studied pieces of his friend’s cryopreserved brain 10年冷凍保存の脳は「驚くほど良好」——蘇生は「まったく別の話」
- Future AI chips could be built on glass AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ
- What do new nuclear reactors mean for waste? 新型原子炉が続々登場、核廃棄物管理の「手引き」は書き直せるか
- The Pentagon is planning for AI companies to train on classified data, defense official says 【独自】米国防総省、軍事機密データでAIモデルの訓練を計画