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「AIの未来」と持ち上げられたMoltbookがつまらない理由
napat intaroon / Shutterstock
Why the Moltbook frenzy was like Pokémon

「AIの未来」と持ち上げられたMoltbookがつまらない理由

AIエージェント同士が交流するプラットフォーム「Moltbook」が、テック業界で「未来の先触れ」と話題になった。だが実態は暗号通貨詐欺が氾濫し、多くの投稿は人間が書いたもの。専門家はかつて一世を風靡した「ツイッチ・プレイズ・ポケモン」と同じ一過性の騒ぎだと指摘する。 by James O'Donnell2026.02.13

この記事の3つのポイント
  1. AIエージェント同士が交流する「Moltbook」の実態は人間による操作が多数を占めていた
  2. 2014年のツイッチ・プレイズ・ポケモンと類似した一過性の社会実験として専門家は位置づける
  3. 真に有用な群衆知性実現には協調性と共有目標およびメモリーの確立が課題となる
summarized by Claude 3

テック業界の多くの影響力のある人々が先週、AIエージェント同士がやり取りするネット上のたまり場である「Moltbook(モルトブック)」を、未来を垣間見せるものとして描いていた。そこでは、人工知能(AI)システムが、それを作成した人間のために有用なことをしているように見えた。このプラットフォームを使って新車の取引交渉を手助けしてもらった人もいる。確かにMoltbookでは暗号通貨詐欺が氾濫し、多くの投稿は実際には人間によって書かれたものだった。だが、それでも何かが有用なAIの未来を指し示していた。

この実験全体は、MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者であるウィル・ダグラス・ヘブンに、はるかに興味深くないものを思い出させた。ポケモンである。

2014年、誰かがポケモンのゲームを設定し、メインキャラクターをストリーミング・プラットフォームのTwitch(ツイッチ)を通じてネット上で誰でも操作できるようにした(Twitch Plays Pokémon=ツイッチ・プレイズ・ポケモンのこと)。これは不格好だったが、信じられないほど人気があった。ある時点では、100万人が同時にゲームをプレーしていた。

「それは主流メディアに取り上げられた、またしても奇妙なオンライン社会実験でした。これは未来にとって何を意味するのか?結果的には、大したことではありませんでした」とダグラス・ヘブン編集者は言う。

Moltbookに関する熱狂は、ダグラス・ヘブン編集者には似たような調子に聞こえ、彼が話を聞いた情報源の一人もポケモンのことを考えていたことが判明した。ジョージタウン大学プサロス金融市場政策センターのジェイソン・シュレッツァー教授は、Moltbook全体をAI愛好家のためのポケモンバトルのようなものと見なしていた。彼らはAIエージェントを作成し、他のエージェントと相互作用させるために展開していた。この観点から見ると、多くのAIエージェントが実際には人間によって、意識があるか知的に聞こえるような特定のことを言うよう指示されていたというニュースは、はるかに理にかなっている。

「基本的には観戦スポーツです」とシュレッツァー教授はダグラス・ヘブン編集者に語った。「ただし、言語モデルによる、という違いがありますが」。

なぜMoltbookが言われていたような未来を垣間見せるものではなかったのか、ダグラス・ヘブン編集者は記事を書いている。エージェント型AIの未来に興奮している人でも、彼が指摘するように、Moltbookが明らかにした、まだ欠けている重要な要素がいくつかある。Moltbookは混沌のフォーラムだったが、真に有用な群衆知性には、より多くの協調、共有された目標、そして共有されたメモリーが必要だろう。

「何よりも、Moltbookは楽しめるインターネットだったのだと思います」とダグラス・ヘブン編集者は言う。「今、私に残る最大の疑問は、人々は笑いのためだけにAIをどこまで押し進めるのかということです」。

記事全文はこちら。

 

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ジェームス・オドネル [James O'Donnell]米国版 AI/ハードウェア担当記者
自律自動車や外科用ロボット、チャットボットなどのテクノロジーがもたらす可能性とリスクについて主に取材。MITテクノロジーレビュー入社以前は、PBSの報道番組『フロントライン(FRONTLINE)』の調査報道担当記者。ワシントンポスト、プロパブリカ(ProPublica)、WNYCなどのメディアにも寄稿・出演している。
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