「28年に能力1000倍」
マイクロソフトAIトップ、
指数関数的成長の必然を語る
AIの訓練データ量は2010年から現在までに1兆倍増加し、コンピューティング性能はムーアの法則が予測する5倍を大きく超え50倍の向上を実現した。2028年末には実効能力がさらに1000倍になるという。マイクロソフトAIのCEOが、指数関数的成長の構造とその必然性を解説する。 by Mustafa Suleyman2026.04.14
- この記事の3つのポイント
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- 人間の直感に反してAI分野では指数関数的進歩が続いており、2010年から現在まで訓練データ量が1兆倍に増加した
- チップ性能向上、高帯域幅メモリ、大規模GPU接続技術の3つの進歩により、ムーアの法則を大幅に上回る50倍の性能向上を実現
- 2028年末までに実効コンピューティング能力がさらに1000倍になり、自律的なAIエージェントへの移行が加速する
私たちは、「リニアな世界」に合わせて進化してきた。1時間歩けば一定の距離を進む。そして、2時間歩けばその倍の距離を進む。この直感は、サバンナでは大いに役立っていた。しかし、人工知能(AI)とその中心にある指数関数的なトレンドに直面すると、この直感は致命的に通用しなくなる。
私が2010年にAIの研究を始めたときから現在までの間に、最先端のAIモデルに投入される訓練データの量は、なんと1兆倍にも増加した。初期のシステムでは約10¹⁴フロップス(FLOPS:浮動小数点演算、計算能力を表す基本単位)だったものが、今日の最大規模のモデルでは10²⁶フロップスを越えている。これはまさに爆発的な増加である。AIにおけるあらゆる進歩はこの事実に基づいている。
懐疑論者たちは、限界が訪れると予測し続けている。しかし、世代ごとにコンピューティング能力は驚異的に飛躍し、彼らの予測は外れ続けている。彼らはよく、ムーアの法則の鈍化を指摘する。また、データの不足や、エネルギーの制約を理由に挙げる。
しかし、この革命を牽引するさまざまな要因を総合的に見れば、指数関数的な成長傾向はむしろ予測可能なものと言える。その理由を理解するには、表面的なことの奥底にある、複雑かつ急速に変化する現実を考察することが有益だ。
AIモデルの訓練を、電卓を操作する人たちでいっぱいの部屋に例えてみよう。長年にわたり、計算能力を高めるということは、その部屋に電卓を持った人を増やすことを意味していた。そうした人たちは往々にして、机を指で叩きながら、次の計算に必要な数値が入ってくるのを待っているだけであった。その一時停止のたびに、潜在能力が無駄にされていた。今日の革命は、より多くのより高性能な電卓にとどまらない(もちろん、それらも実現しているが)。実際には、それらの電卓が決して止まることなく、一体となって動作するようにすることが重要なのだ。
現在、3つの進歩が合わさって、これを可能にしている。1つ目として、基本的な電卓(演算)の処理速度が向上した。エヌビディア(Nvidia)のチップは、わずか6年間で純粋な処理能力が7倍以上向上し、2020年の312テラ(テラは1兆)フロップスから、現在では2250テラフロップスに到達している。2026年1月に発売されたマイクロソフト独自のMaia(マイア)200チップは、マイクロソフトの他のどのハードウェアよりも、コストパフォーマン …
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