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「臓器袋」から全身置換へ
ステルス企業R3が隠す
「脳なし」クローン計画
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Adobe Stock, Getty, Envato, Public Domain
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Inside the stealthy startup that pitched brainless human clones

「臓器袋」から全身置換へ
ステルス企業R3が隠す
「脳なし」クローン計画

米カリフォルニア州のスタートアップ「R3」は2026年3月、動物実験の代替として知覚のないサルの「臓器袋」を作ると公表した。しかしMITテクノロジーレビューの調査が明らかにしたのは、脳のないヒトクローンを使った全身置換——第二の人生を手に入れる計画——を同社が秘密裏に追求していたという事実だ。不死への執念は、倫理の境界線をすでに越えつつある。 by Antonio Regalado2026.05.27

この記事の3つのポイント
  1. R3社が「脳のないヒトクローン」を予備臓器・全身置換目的で開発する構想を秘密裏に推進していたことが判明した
  2. 同社は動物実験代替という表向きの目標の裏で、身体置換クローニングのロードマップを投資家に提示し、資金調達していた
  3. 専門家からは「正気ではない」との批判が上がる一方、延命信奉者の間では支持基盤が形成されつつある
summarized by Claude 3

長年にわたり秘密裏に活動してきた米カリフォルニア州リッチモンドのスタートアップ「R3」が2026年3月、突然、その事業の詳細を公表した。同社は、動物実験の代替手段として知覚を持たないサル「臓器袋(organ sacks)」を作り出すため、資金を調達したと述べている。

R3は、ワイアード(Wired)誌のインタビューで3人の投資家の名前を挙げた。億万長者のティム・ドレイパー、シンガポールを拠点とするファンド「イモータル・ドラゴンズ(Immortal Dragons)」、そして延命分野に投資する「ロングゲーム・ベンチャーズ(LongGame Ventures)」である。

しかし、この話には続きがある。そして、R3はその話が公になることを望んでいない。

MITテクノロジーレビューは、このステルス・スタートアップの創業者ジョン・シュレンドルンが、衝撃的で、医学的に生々しく、倫理的に問題のある構想も提唱していた事実をつかんだ。その構想は、シュレンドルンが「脳のないクローン」と呼ぶものに関するもので、人体のバックアップとして機能させることを目的としている。

こんなふうに想像してみてほしい。このクローンは、もしあなたがいつか新しい腎臓や肝臓を必要とする場合に備え、生存に必要なだけの脳構造だけを持って生きている、あなた自身の赤ちゃん版である。

あるいは、別の方法として、シュレンドルンが推測しているように、いつの日かあなたは、自分の脳を若いクローンに移植するかもしれない。それは、まだ仮説上の手段である、いわゆる「身体移植」を通じて、第二の人生を手に入れる方法となる可能性がある。

R3の提案の詳細な背景や、同様の目標を掲げる別のステルス・スタートアップの活動は、これまで報道されてこなかった。そうした不死に関わる計画が、大げさなニュースとなって世間の反発を受け、頓挫する可能性を恐れる、過激な延命擁護派によって秘密にされてきたのである。

なぜなら、そのアイデアはまるで、不気味なSF映画の中の話のように聞こえるからだ。R3のクローンに関するプレゼンテーションを聞いたある人物は、そのアイデアが意味することに強い衝撃を受け、シュレンドルンの熱狂的な話しぶりに動揺したと、匿名を条件に語ってくれた。この人物によれば、その説明会はまるで、『未知との遭遇』と『博士の異常な愛情』が合わさったような内容だったという。

シュレンドルンがこのアイデアの発想を得る鍵となったのが、子どもの大脳半球の大部分が欠損した状態で生まれる先天性障害だ。彼は、脳の大部分がなくても身体は生きていられることを示す証拠として、そのような子どもたちのほぼ空っぽの頭蓋を撮影した医療用スキャン画像を人々に示している。

そしてシュレンドルンは、クローンを育てる方法についても話している。人工子宮はまだ存在しないため、脳のない身体を実験室で育てることはできない。そのためシュレンドルンは、脳のないクローンの最初の一群は、女性たちに報酬を払って妊娠・出産してもらう必要があるだろうと述べている。しかし将来的には、1体の脳のないクローンが、別のクローンを出産できるようになるかもしれない。

R3がワイアード誌で自らの存在を世界に公表した日と同じ3月23日の月曜日、同社は当誌に対し、我々の調査結果を完全に否定する声明を送ってきた。R3によれば、シュレンドルンは「代理母が出産することになるであろう仮説上の『知覚を持たないヒトクローン』に関して、いかなる発言もしたことはない」という。それらの反論の中で最も根本的なものは、「ヒトクローンまたは脳障害を持つ人間を作り出す意図や策謀に関するどのような主張も、断じて事実無根である」という、同社の主張だった。

しかし、シュレンドルンと共同創業者のアリス・ギルマンでさえ、この話題から遠ざかっていることはできないようだ。つい最近の昨年9月、2人はボストンで開催されたイベント「アバンダンス・ロンジェビティ」でプレゼンテーションをした。このイベントはアンチエイジング推進者のピーター・ディアマンディスが主催したもので、チケットは1枚7万ドルもした。約40人の聴衆に対するこのプレゼンテーションは録画されておらず、非公開を前提とするものだったが、同イベントのアジェンダの写しを見ると、シュレンドルンは「全身置換」と題されたセッションで、自分自身の「老化に打ち勝つための最後の挑戦」を概説するために出席していたことが分かる。

その場にいたある人物によると、動物を使った研究と、予備臓器用の個人的なクローンの両方について説明があったという。プレゼンテーション中、ギルマンとシュレンドルンは、クローンの作成に使う針の画像の前に立つ場面さえあった。これは脳のないクローンに関する話なのかどうか我々が問いただしたところ、ギルマンは、R3の現在の事業は実験用動物モデルを置き換えることではあるものの、「チームは仮説に基づいて未来に関する議論をする権利を留保している」と述べた。

MITテクノロジーレビューの調査では、R3が誰かのクローンを、あるいはげっ歯類よりも大きな動物のクローンさえ、作成したという証拠は見つからなかった。見つかったのは、R3が2023年に支援者宛の書簡で「身体置換クローニング」と呼んだものの、技術的なロードマップを概説する文書や、追加の会議用議題表、その他の情報源となる資料であった。そのロードマップには、クローニングプロセスの改良点や、完全な脳を持たない動物を作り出す方法に関する、配線図のような遺伝子設計図も記載されていた。

投資家たちによると、資金調達の主な目的は、カリブ海地域の拠点から調達したサルで、そのような技術を試す取り組みを支援することだったという。その取り組みは、より倫理的な医学実験や毒性試験に関する、より短期的なビジネスプランへの道をもたらすものだった。ただし、R3が現在、サル「臓器袋」と呼ぶものを、開発できればの話だが。しかしこの取り組みが、将来可能性のあるヒト臓器袋に重要な知見を提供することは間違いないだろう。

シュレンドルンは博士号を取得しているものの、バイオテクノロジー界では門外漢である。発表した論文はほとんどなく、かつてベイエリアの自宅ガレージにDIYの研究室を構えていたことで最もよく知られている。それでも、長寿科学の実験的な非主流派とのつながりによって、シリコンバレーでの人脈や、リスクを厭わない米国の医療イノベーション機関「ARPA-H」の協力者たちを得てきた。投資家からの資金調達に成功したことも合わせて考えると、この話は、脳のないクローンという構想を、科学者、医師、倫理学者といったより広範なコミュニティが真剣に受け止めるべきであることを示唆するものである。そういった人々の中には、深刻な懸念を表明した者もいる。

「私の考えでは、正気ではないように聞こえます」と、ミシガン州立大学の研究者ホセ・シベリは、R3の脳のないクローンというアイデアについてMITテクノロジーレビューから説明を受けた後、話した。「どうやって安全性を証明するのでしょう? 正常ではない人間を作ろうとしているときに、安全性とは一体何なのでしょうか?」

25年前、シベリはヒト胚のクローニングを初めて試みた科学者の1人だったが、その目的は赤ちゃんを作ることではなく、適合する幹細胞を得ることだった。「人間の想像力やお金を稼ぐ方法に制限はありませんが、境界線は設けなければなりません」と、シベリは言う。「それは、人間ではない人間を作るという境界線です」。

「実現可能性調査」

1996年に羊のドリーが誕生して以来、研究者たちは、犬、猫、ラクダ、馬、牛、フェレット、その他の哺乳類のクローンを作成してきた。既存の動物から採取した細胞を卵子に注入することで、発育可能な複製胚を作り出すことができるが、必ずしも問題がないわけではない。欠陥、奇形、死産が起こることは、依然としてよくある。

そうした重大なリスクがあるからこそ、理論的には作成可能であるにもかかわらず、ヒトクローンの話は今まで聞いたことがないのだ。

しかし、脳のないクローンはこの状況を一変させる。なぜなら、その究極の目的は、健康な人間を作り出すことではなく、おそらく栄養チューブなどの生命維持手段なしでは生きられないであろう、意識のない身体を作り出すことであるからだ。この身体は複製される人物のDNAを共有することになるため、その臓器の免疫学的適合性は完璧に近いものになるだろう。

この広範な構想を支持する人々は、知覚を持たない身体から臓器を採取することは倫理的に許容されるだろうと主張する。また、今のところ老化を逆転させられる薬は存在しないため、新鮮な若い身体の一部と入れ替えること(いわゆる「置換」)こそが、寿命を延ばすための最も有力な方法であると信じている人々もいる。

さらに、全身移植というアイデアもある。「確かに、冷凍保存されている患者にとっては、非常に有望な話のように聞こえるでしょう」と、スウェーデンの著名なトランスヒューマニストであり、未来技術の倫理の専門家であるアンダース・サンドバーグは話す。サンドバーグは、死後に冷凍カプセルで保管されることを選ぶ多くの人々が、より安価な「頭部のみ」のオプションを選択すると指摘し、そのため「予備のクローン身体に対する市場が存在するかもしれない」と言う。

MITテクノロジーレビューは2年前に初めてシュレンドルンに接触した。彼が、「身体置換ミニカンファレンス」と題した非公開のオンラインセミナーを主催し、そこで「置換用身体の作成に向けた研究室での最近の進捗状況」を紹介したことを知ったためだ。

アジェンダの写しによると、2023年のそのセッションでは、クローニングの専門家であるヨン・ギチョンによるプレゼンテーションも実施された。また、当時アルバート・アインシュタイン医科大学の教授だったジャン・エベールによるプレゼンテーションもあった。エベールは現在、ARPA-Hでプログラムマネージャーを務め、幹細胞を用いて損傷した脳組織を修復するプロジェクトを監督している。2020年には著書『Replacing Aging』において、死を回避するためのソリューションである、いわゆる「置換法」を世に広めた。

2024年に政権へ参画する前のインタビューで、エベールはシュレンドルンとの関係を、非公式ではあるが「非常に協力的」であると語った。全体的な考え方は、老化を止めるために2人のうちの1人が脳の修復方法を確立し、もう1人が脳のない身体の作成方法を見つけ出すというものだった。「完璧な組み合わせですよね? 身体と脳です」と、エベールは当時、MITテクノロジーレビューに語っている。

主流から外れた場所で活動することで、シュレンドルンには「次の論文を発表したり、次の研究助成金を獲得したりすることに縛られない」という大きな利点があったとエベールは述べ、こう付け加えた。「それは研究を続けるための実に素晴らしい方法です。余計なしがらみがなく、純粋です」。R3は現在、ARPA-HのWebサイトに掲載されている、エベールのプログラムのパートナー候補リストに名を連ねている。

エベールは、インタビューと同じ年にシュレンドルンと交わしたリンクトインでのメッセージの中で、自身の研究を「身体置換の実現可能性調査」と説明した。

「私たちは、早い段階で明確な社会的利益を生み出すような形で、この研究を続けるように努力するつもりです。もし安全に実施できないことが判明した場合は、『ノー』という答えを受け入れる覚悟が必要です」と、シュレンドルンは当時、メッセージに書いた。このときシュレンドルンはインタビューを断り、 …

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MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

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