フラッシュ2022年2月8日
東京五輪選手村における新型コロナ下水調査の結果発表=北大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]北海道大学や大阪大学の研究者で構成する研究チームは、2021年に開催された東京オリンピック大会の選手村において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の下水疫学調査を実施した結果を発表した。同チームの報告によると、陽性者の報告がないエリアも含めて、多くの下水検体から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRNAが検出されたという。
下水疫学調査は、無症状感染者や軽症者も含めた集団レベルでの新型コロナ感染状況を効率よく把握する手法として社会的に注目を集めている。研究チームは、2021年7月14日から9月8日にかけて計690検体の下水サンプルを選手村内のマンホールから採取し、RNAを抽出して定量PCR検査を実施した。その結果、33.8%にあたる計233検体から新型コロナウイルスのRNAを検出した。定量PCR検査で陽性となった下水試料についてはゲノムを解析し、変異株も検出した。
研究結果は2022年2月3日、ジャーナル・オブ・トラベル・メディシン(Journal of Travel Medicine)誌に査読付き速報論文として掲載された。今回の調査は、次回以降のオリンピック・パラリンピックを含む大規模集合イベントにおける感染対策の一環としての下水疫学調査の有用性を示している。
(中條)
- 人気の記事ランキング
- Why it’s so hard for China’s chip industry to become self-sufficient 中国テック事情:チップ国産化推進で、打倒「味の素」の動き
- This US startup makes a crucial chip material and is taking on a Japanese giant 知られざる半導体材料の巨人 「味の素」の牙城を狙う 米スタートアップの勝算
- How thermal batteries are heating up energy storage レンガにエネルギーを蓄える「熱電池」に熱視線が注がれる理由
- Researchers taught robots to run. Now they’re teaching them to walk 走るから歩くへ、強化学習AIで地道に進化する人型ロボット