フラッシュ2022年2月9日
孤独を感じて仲間を求める脳内回路をマウスの実験で発見=理研
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所 脳神経科学研究センターの研究チームは、雌マウスが孤独を感じ仲間を求める行動に重要な役割を持つ分子神経機構を発見した。群れで生活し共同で子育てするなど、哺乳動物が持つ高度な社会性を解明する手がかりとなるもので、将来的には、人間の孤独と社会性のメカニズムに関する理解へつながる可能性がある。
実験では、雌マウス4~5匹の集団ケージから1匹だけ別のケージに入れたり、他のマウスを外に出して1匹だけケージに残したりした。すると、どちらの場合も隔離されたマウスでは、子育てに重要な脳部位(内側視索前野中央部)において、アミリンという神経ペプチドを発現する神経細胞(アミリン細胞)の数が2日で約半分に減少し、6日でほぼゼロになった。その後再び集団飼育すると、アミリンの発現は2週間で元に戻った。
次に、マウスのアミリン細胞を人工的に活性化したところ、仲間と接触しようとする行動は4.7倍に増加。逆に、アミリン遺伝子を欠損させてアミリンを産生できなくした遺伝子組み換えマウスでは、仲間と接触しようとする行動が26%に減少した。本研究成果は、2022年2月8日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。
(中條)
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