フラッシュ2022年4月12日
- ビジネス・インパクト
東大など、135億光年かなたの最遠方銀河の候補を発見
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学宇宙線研究所と早稲田大学などの共同研究チームは、現在見つかっている銀河の中で最遠方の候補となる、135億光年かなたの宇宙に明るく輝く銀河の候補を発見した。この銀河は非常に明るく、これまでの銀河形成モデルでは予想されていなかったような天体だという。
研究チームは、すばる望遠鏡やチリのビスタ(VISTA)望遠鏡などによる合計1200時間以上の観測によって得られた70万個以上の天体データから、135億光年かなたの最遠方銀河の候補天体である「HD1」を発見。さらに、HD1に対してアルマ(ALMA)望遠鏡を用いた分光観測を実施し、135億光年かなたの天体からの酸素輝線が予想される周波数に弱いシグナルを見つけた。
研究チームによると、HD1は非常に明るく、これはHD1のような明るい天体がビッグバン後わずか3億年の宇宙に既に存在していたことを示唆しているという。これまで見つかった銀河の中で最も遠方のものは、ハッブル宇宙望遠鏡が発見した134億光年かなたの銀河「GN-z11」であった。今回、研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡よりも長い波長をカバーしている地上望遠鏡の観測データを用いることで、GN-z11よりも遠方の宇宙に存在する銀河を探査した。
HD1は今後、ジェイムズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡の分光器により観測が実施されることになっている。同望遠鏡による分光観測により正確な距離が確認されれば、GN-z11より1億光年遠い、これまでの記録を塗り替える最遠方の銀河になる可能性がある。今回の研究成果は4月8日に、アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)のオンライン版に掲載された。
(中條)
- 人気の記事ランキング
- Deepfakes of Chinese influencers are livestreaming 24/7 AI生成インフルエンサーが 24時間稼ぎ続ける 中国ライブコマース新事情
- AI just beat a human test for creativity. What does that even mean? AIが創造性テストで人間に勝利、その衝撃結果が意味すること
- What to know about this autumn’s covid vaccines 新型コロナに秋の流行の兆し、ワクチンの現状は?
- Why we should all be rooting for boring AI 生成AIの「キラキラしない」未来に期待する理由
- Who benefits most from the new covid vaccines? 秋接種が始まった新型コロナ・ワクチン、誰が接種すべきか?