フラッシュ2022年6月7日
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認知症治療に手掛かり、神経細胞死や炎症抑制の可能性=量研など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]量子科学技術研究開発機構(量研)などの研究チームは、認知症患者の脳内で生じる神経細胞死や炎症を抑制する仕組みを解明した。認知症の発症や進行を抑制する治療法の開発に役立つ研究成果だ。
アルツハイマー病などの認知症では、神経細胞の骨格構造の安定化などに役立っているタウタンパク質が、異常にリン酸化して凝集体を形成し、神経細胞質中で凝集体が束になって線維化して沈着する神経原線維変化を生じ、神経細胞死を引き起こすと考えられている。また、異常なタウタンパク質は選択的オートファジーによって分解されている可能性も報告されている。
研究チームは、オートファジー受容体タンパク質の中でも、神経原線維変化の中に一緒に沈着する「p62」に着目。脳の神経細胞に異常なタウタンパク質が蓄積する認知症モデルマウスでp62を欠損させて、脳におよぼす影響を調べた。その結果、海馬で、タウタンパク質凝集体の中でも神経細胞に対して高い毒性を示す「タウオリゴマー」の蓄積が増加し、脳の萎縮と炎症が亢進することを発見した。これは、p62を介した選択的オートファジーがタウオリゴマーを分解することで、脳の神経細胞死や炎症といった認知症の病態を抑制することを示す。
研究成果は6月4日、エイジング・セル(Aging Cell)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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