フラッシュ2022年8月19日
-
光と酸で分解できる光分解性材料、東大が開発
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、光と酸がそろったときにのみ分解できる高分子材料を開発した。従来の光分解性材料は光で分解できるため環境への悪影響が少ない利点があるが、光が当たる場所では使えないのが欠点。今回開発した材料はその欠点を解消するものとなる。
研究チームは、高分子材料の一種であるポリメタクリル酸メチルに白金錯体を架橋剤として少量混入させてゲル材料を作った。混入させた白金錯体は、メチル化シクロデキストリンを環状分子とする超分子構造を有しており、365ナノメートルの紫外光と塩化水素の2つの条件を同時に作用させたときにのみ、白金-炭素結合の分解反応が進行する。この結果、光を当てただけでは分解できず、光と酸を同時に作用させたときに、分解できる材料ができあがった。
研究成果は8月9日、「アドバンスト・ファンクショナル・マテリアルズ(Advanced Functional Materials)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Why Chinese manufacturers are going viral on TikTok 「ほぼエルメス」を工場直送 中国の下請け企業が ティックトックで反旗
- AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
- Here’s why we need to start thinking of AI as “normal” AIは「普通」の技術、プリンストン大のつまらない提言の背景
- How creativity became the reigning value of our time 誰もが疑わない現代の価値観 「創造性」という幻想は いかにして創り出されたか