フラッシュ2022年8月25日
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エアロゾル中の新型コロナ、HEPAフィルターで除去可能=東大ら検証
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学と進和テックの共同研究チームは、HEPA(high-efficiency particulate air)フィルターを用いることで、エアロゾル中の感染性新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を室内空間から経時的に除去できることを実証した。
研究チームは、HEPAフィルターのろ過効果を検証するため、BSL3(感染すると重篤な疾患を起こす病原体を取り扱うことが可能な実験施設)の施設内に設けた試験チャンバー内に、HEPAフィルター搭載空気清浄機を設置。チャンバー内をSARS-CoV-2エアロゾルで満たした後、チャンバー内に設置された空気清浄機を毎時12回換気の風量で5分間、10分間、35.5分間稼働させた。
所定の稼働時間後、チャンバー内に漂っているSARS-CoV-2エアロゾルをエアサンプラーで採取し、サンプル中の感染性ウイルス力価を測定したところ、HEPAフィルターによるウイルス除去率は、5分間、10分間、35.5分間の稼働時間で、それぞれ85.38%、96.03%、99.97%以上であった。その後、抗ウイルス剤塗布型HEPAフィルターのSARS-CoV-2エアロゾルの捕捉率についても測定したところ、従来型のHEPAフィルターと同等であることがわかった。
SARS-CoV-2の主要感染経路の一つとして、エアロゾル感染がある。室内におけるSARS-CoV-2の空間中への拡散を低減するためには、HEPAフィルターによる空気ろ過が有効であると考えられているが、感染性SARS-CoV-2エアロゾルに対するHEPAフィルターの捕集効果については定量的な評価が実施されていなかった。
研究成果は、米国科学雑誌エムスフェア(mSphere)のオンライン版に2022年8月10日付けで掲載された。
(中條)
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