フラッシュ2022年9月8日
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宇宙プラズマ衝撃波を実験室で再現、宇宙線の謎解明へ=阪大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学や九州大学の研究者で構成する共同研究チームは、大型レーザーを用いることで、宇宙プラズマ衝撃波を実験室に生成。生成された衝撃波が伝搬していく様子を観測することに成功した。条件を能動的に制御でき、再現性を担保できる実験が新たな研究ツールに加わることで、宇宙プラズマ衝撃波の構造や仕組みに関する研究が進展しそうだ。
研究チームは、宇宙と同様の状況を再現するため、装置内に一様な窒素ガスを充填し、一様で強い磁場を印加した状態で、大阪大学レーザー科学研究所の「激光XII号」レーザーをターゲットのアルミ板に照射。プラズマ化したアルミの爆風を発生させることでプラズマ化した周囲の窒素ガス(窒素プラズマ)を圧縮し、衝撃波を形成した。この衝撃波生成法は同チーム独自のもので、これまで提案されている手法に比べて、衝撃波のパラメーターを精度よく測れるのが特徴だという。
宇宙線と呼ばれる極めてエネルギーの高い荷電粒子は、超新星残骸などに存在する宇宙プラズマ衝撃波で作られると考えられている。しかし、宇宙線がどのようなメカニズムで作られるのかを矛盾なく説明する理論は未だに確立されていない。宇宙プラズマ衝撃波のエネルギー変換過程の理解が進めば、宇宙線生成の謎を解明できる可能性がある。
研究成果は、米国科学誌フィジカル・レビューE(Physical Review E)に、2本の論文として2022年8月26日と同年2月11日に公開された。
(中條)
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