フラッシュ2022年9月27日
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銀河中心ブラックホール周囲のダストを測定する新手法=東大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学などの共同研究チームは、活動銀河核の赤外線放射強度の時間変動現象を解析することで、銀河中心ブラックホールを取り巻くダスト(塵やガス)の層(「ダストトーラス」と呼ぶ)による活動銀河核中心部からの光の減衰量を測定する手法を開発した。ダストトーラスを透過しやすい赤外線を使うことで、ダスト層に深く隠された活動銀河核も測定できるうえ、公開観測データベースをもとに簡便かつ大量に解析できるという。
ダストトーラスの内縁部は、活動銀河核中心からの強力な紫外線・可視光によって温められ、近赤外線(波長約1~5ミクロン)を放射している。これは活動銀河核中心からの放射と同様に、我々までの間に存在するダストにより減光する。可視光・赤外線に対するダストによる吸収・散乱の影響は波長が長いほど小さいため、そのスペクトルはダストが多いほど「赤く」(相対的に短波長側がより暗く)なる。従って、この「赤化」量を測定することでダスト減光量を見積もることができる。
研究チームは、近赤外線の異なる2つの波長における放射強度の時間変動(変光)量の比を使って「赤化」量(相対的に短波長側がより暗くなる量)を測定することで、ダスト減光量を見積もる手法を開発した。既存のカタログにある活動銀河核に本手法を適用し、463個の活動銀河核に対してダスト減光量の測定に成功。可視光ならば中心放射が約1杼分の1(1兆分の1の1兆分の1)に暗くなるほどにダストトーラスに深く隠された活動銀河核が存在することを見い出した。
今回の手法は、約10万個の活動銀河核に適用できる見込みで、活動銀河核現象と銀河中心ブラックホールの成長の理解のための有力な手がかりとなると期待される。研究成果は、王立天文学会月報(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)に9月15日付でオンライン掲載された。
(中條)
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