フラッシュ2022年10月15日
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収縮期血圧の変動が大きいほど糖尿病の発症率高く=名大調べ
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]名古屋大学の研究チームは、過去の検診データを分析し、収縮期血圧の変動が大きいほど2型糖尿病の発症率が高くなることを明らかにした。
研究チームは、愛知県内の職域勤労者を対象にしたコホート研究「愛知職域コホート研究」のデータを利用して、血圧変動の大きさと2月糖尿病の発症率の関係を調べた。分析対象となったのは、開始時に糖尿病を発症していない3017人で、そのうち135人がおよそ10年間の追跡期間中に2型糖尿病を発症している。
今回の研究では、血圧の長期変動の指標として二乗平均平方根誤差(Root Mean Square Error:RMSE)と、追跡期間中の2型糖尿病の発症率の関係を統計学的手法で解析した。その際、2型糖尿病の発症率に関連する可能性がある因子である性別、年齢、喫煙習慣、運動週間、食塩摂取量、肥満度、糖尿病の家族歴、追跡開始時の血糖値などの影響を統計学的手法を使って調整した。
その結果、収縮期血圧の変動(RMSE)が大きい群は小さい群よりも2型糖尿病の発症リスクが1.79倍も高いことが明らかになった。血圧変動の指標として、隣り合う2回の測定値の差の絶対値を平均した平均実変動「Average Real Variability:ARV」を使って評価しても、2型糖尿病の発症リスクとの間に同様の関連が認められたという。
研究成果は8月18日、「ハイパーテンション・リサーチ(Hypertension Research)」誌にオンライン掲載された。収縮期血圧が変動する要因の1つとして、交感神経系の機能異常が挙げられる。今回の研究結果から、2型糖尿病の発症に先行して交感神経系の機能変化が存在する可能性があるという。
(笹田)
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