フラッシュ2022年10月15日
-
東北大、右心不全に低出力パルス波超音波が有効であると実証
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学の研究チームは、低出力パルス波超音波(Low-intensity Pulsed Ultrasound:LIPUS)が右心不全に有効であり、かつ安全であることを動物モデルを使って実証した。右心不全は、全身の静脈がうっ血し、臓器不全や末梢部の浮腫といった症状を招く疾患で、決定的な治療法は存在しない。
研究チームは、これまでに狭心症、心筋梗塞、左室拡張障害などの心疾患を発症させたモデル動物で、LIPUSが血管内皮細胞の細胞膜の窪み構造(カベオラ)を進展させることで、細胞膜表面の機械刺激受容体を刺激し、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現を誘導して、血管新生を促すことで心機能を改善することを明らかにしている。
そこで今回はLIPUSが右心不全を改善する有効な治療法になるとの仮説を立て、右心不全を起こさせたモデル動物を使って実験した。その結果、LIPUS治療を受けた動物は、右心機能の改善、真菌の肥大、線維化の低減が確認できたという。
研究成果は10月12日、「JACC:ベーシック・トゥ・トランスレーショナル・サイエンス(JACC:Basic to Translational Science)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Two Nobel Prize winners want to cancel their own CRISPR patents in Europe クリスパー特許紛争で新展開 ノーベル賞受賞者が 欧州特許の一部取り下げへ
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
- A brief guide to the greenhouse gases driving climate change CO2だけじゃない、いま知っておくべき温室効果ガス
- Why OpenAI’s new model is such a big deal GPT-4oを圧倒、オープンAI新モデル「o1」に注目すべき理由
- Sorry, AI won’t “fix” climate change サム・アルトマンさん、AIで気候問題は「解決」できません