フラッシュ2022年11月10日
-
量子とHPCのハイブリッド計算を実現する技術を開発=富士通
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]富士通は、創薬や新材料開発で必要になる量子化学計算の問題に対し、量子コンピューティングとハイパフォーマンス・コンピューティング(以下、HPC)を自動で最適に組み合わせて高精度と高速性を両立して計算する計算技術を開発した。量子コンピューターやHPCのハードウェア層だけでなく、それらの上位層の各アルゴリズムまでを自動で組み合わせて最適計算を可能にする技術は世界初だという。
同社は、量子化学で用いられる分子に対するアルゴリズムの収束の様子を分析することで、量子とHPCのどちらのアルゴリズムを用いると精度が高いか推定可能な技術を開発。さらに、独自開発の適応型人工知能(AI)技術を用いて分子構造とアルゴリズムの反復計算と計算時間の関係性を学習することで、計算量を事前に推定可能なAIモデルを構築し、精度の高い解を得るまでに必要な時間や費用を算出できるようにした。
利用者の解きたい量子化学計算の問題に応じた最適な計算手法を、AIが自動で組み合わせて選択するので、専門的な知識が無くとも、問題に対して最適な形で量子シミュレーターとHPC技術を利用できるという。ハードウェアは、39量子ビットの富士通製量子コンピュータシミュレーター(以下、量子シミュレータ)とスーパーコンピューター「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した同社製HPCを用いた。
(中條)
-
- 人気の記事ランキング
-
- An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
- This startup just hit a big milestone for green steel production グリーン鉄鋼、商業化へ前進 ボストン・メタルが1トンの製造に成功
- AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
- OpenAI has released its first research into how using ChatGPT affects people’s emotional wellbeing チャットGPTとの対話で孤独は深まる? オープンAIとMITが研究