フラッシュ2023年1月12日
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世界最薄の白金ナノシートで燃料電池の性能を向上=信州大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]信州大学と琉球大学などの共同研究チームは、固体高分子形燃料電池の酸素極における触媒活性と耐久性をそれぞれ2倍高められる白金ナノシート酸素極触媒を開発。開発した白金ナノシートを燃料電池用触媒へ応用することで、従来の白金ナノ粒子触媒を凌駕する触媒性能を得た。
研究チームは今回、琉球大学と信州大学が独自開発した層状酸化白金酸塩を層剥離して得られる単原子層白金酸ナノシート(厚みは0.9ナノメートル(nm))に還元処理を施すことで酸素原子を除去。2~3原子層で構成される極薄2次元構造の白金ナノシート(厚みは0.5nm)の開発に初めて成功した。
さらに、白金ナノシートを高比表面積炭素に付着した触媒は、粒子サイズが約3nmの白金ナノ粒子を用いる標準的性能の市販触媒と比較して初期の活性が2倍高いことを確認。酸素極として用いて加速劣化試験を実施して安定性を比較したところ、白金ナノ粒子より耐久性が2倍高いことがわかった。
現在、実用化されている燃料電池には、直径5nm程度の白金や白金コバルト合金などのナノ粒子電極触媒が使用されているが、作動中にナノ粒子が肥大化し、活性が低下するという課題がある。今回の研究成果により、燃料電池自動車や定置用燃料電池の性能と耐久性の飛躍的な向上を期待できるという。
研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)のオンライン版に、2023年1月9日付けで掲載された。
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