フラッシュ2023年3月1日
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「縄文人由来変異」から現代日本人の地域的多様性を説明=東大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、コンピューター・シミュレーションに基づいて、現代日本人のゲノム中から「縄文人に由来する遺伝的変異(縄文人由来変異)」を検出する方法を開発。縄文人由来変異を用いた解析によって、現代日本人の遺伝子型と表現型の地域的な多様性が、各地域の縄文人と渡来人の混血の程度の違いによって生じたことを示した。
現代日本の地域集団には、中国人や韓国人など現代のアジア大陸の集団に比較的近縁な地域集団と、近縁でない集団があることが分かっている。研究チームは、この地域差が生じた過程を解明するため現代日本人ゲノム中の縄文人由来変異に着目。コンピューター・シミュレーションに基づいて、現代日本人のゲノム中から縄文人由来変異を検出するための統計指標「Ancestry marker index(AMI)」を世界で初めて開発した。
さらに、日本の各都道府県集団の全ゲノム情報を用いて縄文人由来変異保有率を調べることで、現代日本人の縄文人と渡来人の混血の程度には地理的な勾配があることと、縄文人と渡来人はそれぞれの生業形態に適応した表現型を持っていたことを発見。これらの結果から、「現代日本人の遺伝子型と表現型の地域的多様性は、先史時代の本土日本の各地域の人口規模の違いに起因する、地域間の縄文人と渡来人の混血の程度の違いにより生じた」という本土日本人の集団形成モデルを提唱した。
今回の研究成果は、日本列島人が形成された過程を解明する上で重要な知見となることが期待される。研究論文は、2023年2月18日(米国東部標準時)に米国科学誌、アイサイエンス(iScience)のオンライン版に掲載された。
(中條)
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