フラッシュ2023年10月17日
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結晶のズレの伝播が音速を超えることを実証、阪大など初
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学やスタンフォード大学などの国際共同研究チームは、結晶中の転位が物質固有の音速よりも速く伝播しうることを、理化学研究所のX線自由電子レーザー施設「SACLA」において「X線ラジオグラフィ」により実証した。転位の伝播速度が音速を超えうるかについては半世紀以上にわたり議論されてきており、転位が音速よりも速く伝播できることを実験で示した世界初の結果になる。
本来は割れやすい材料であるダイヤモンドは、衝撃波による高速変形中のごく短い時間内では塑性変形をしており、塑性変形の領域で積層欠陥の端が伸展する速度は転位の伝播する速度に該当する。本研究グループは、ハイパワーレーザーを用いて単結晶ダイヤモンドを高速変形。生成した積層欠陥の高速な伸展をX線ラジオグラフィにより直接可視化することで、単結晶ダイヤモンド中の転位が横波の音速よりも速く伝播していることを実証した。
今回の研究結果は、転位の伝播の最高速度は横波の音速を超えないという従来の常識を覆すものであり、材料の変形や地震による破壊現象などの正確なモデリングに欠かせない知見になるという。研究論文は、学術誌サイエンス(Science)に2023年10月5日付けでオンライン公開された。
(中條)
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