フラッシュ2023年11月5日
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生物工学/医療
免疫細胞と自己免疫疾患の関係を過去最大規模で解析=阪大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、産業医科大学、東京大学、東京女子医科大学などの共同研究チームは、11の自己免疫疾患の患者1000名の血液を対象に、「免疫フェノタイプ解析」で46種類の免疫細胞を定量化。「どの免疫細胞がどの自己免疫疾患の発症に関わっているのか」を表すネットワークを明らかにした。免疫フェノタイプ解析とは、血液中に含まれる多彩な種類の免疫細胞集団の存在と割合を、抗体を用いて解析する手法である。
自己免疫疾患の病態や発症には多彩な免疫細胞の働きが複雑に組み合わさっており、同じ疾患の患者群の中でも、複数の異なる病態が混在している。研究チームは今回、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症など11種類の自己免疫疾患の患者に対して免疫フェノタイプ解析を実施し、患者を免疫フェノタイプにより分類した。
その結果、主に関節リウマチの免疫フェノタイプに近い患者群と、全身性エリテマトーデス(免疫系の異常により全身の臓器に炎症を生じる病気)の免疫フェノタイプに近い患者群の2つに大きく分類されることが判明。一方で、関節リウマチ患者の中にも、全身性エリテマトーデスに近い免疫フェノタイプを有する患者が少数存在し、こうした患者では特定の免疫細胞の減少や治療反応性の悪さが認められることが明らかになった。
同チームはさらに、大規模疾患ゲノム解析手法である「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」の結果に基づき個人のゲノム情報から疾患発症リスクを定量化する「ポリジェニックリスクスコア(PRS)」を算出。免疫フェノタイプとの関わりを調べて、関節リウマチに合併する間質性肺疾患のPRSと、樹状細胞(免疫細胞の一種)の関連を明らかにした。
今回の研究の成果は、自己免疫疾患のさらなる病態解明と、個人の病態に最適な個別化医療につながることが期待される。研究論文は、英国科学誌「リウマチ性疾患年報(Annals of the Rheumatic Diseases)」オンライン版に、2023年10月30日付けで掲載された。
(中條)
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