米連邦地裁、AT&Tのタイムワーナー買収を認める
この判決はトランプ政権の独禁法(反トラスト法)当局には打撃だが、他の案件を阻止できる可能性は残されている。
米国最大手の通信会社AT&Tによるメディア大手タイム・ワーナーの買収について、米連邦地裁は司法省の異議申し立てを却下し、買収を認める判決を下した。司法省は、両社が一体となることで消費者の料金負担が増すのではないかとの懸念を示していた。AT&Tは傘下にあるケーブル・テレビ局のHBOやCNNも含むメディア・グループの実権を握ることになるが、司法省は即日控訴する可能性もある。
21世紀フォックスのテレビ事業を狙っているコムキャスト(Comcast)や、ヤフーとAOLを統合したメディア部門「オース(Oath)」を立ち上げたベライゾン(Verizon)などの通信会社大手は、アマゾンやネットフリックス(Netflix)といった大規模デジタル・プラットホームとの競争のため、さらなるコンテンツ・ビジネスに手を広げていく可能性がある。メディア業界の大規模な再編が起きるかもしれない。
今回の決定は司法省にとって大きな敗北だ。しかし2年近く続いたタイム・ワーナー買収阻止のための法廷闘争は、司法省が大型合併に挑んでいくという決意の表れでもある。大手インターネット企業が司法省の次なる標的となる可能性がある。司法省のマカン・デラヒム反トラスト局長は、デジタル・プラットホームが自由な競争を脅かすことがあれば、独禁法違反監視官が強制捜査に乗り出さざるを得ないと明言している。
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