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CRISPRで遺伝性難聴を治療、マウスで効果を確認 CRISPR: The Next Hearing-Loss Treatment?

CRISPRで遺伝性難聴を治療、マウスで効果を確認

科学者たちは、遺伝子編集ツールを用いて、遺伝性の難聴を患う動物の聴力を回復させることに成功した。

12月20日のネイチャー誌に詳細が掲載された今回の治療は、マウスに対して実施されたが、同様の手法はいずれ人間に対しても用いられる可能性がある。科学者たちはマウスの内耳の有毛細胞に直接クリスパー(CRISPR)-Cas9を注入した。有毛細胞は、音波の振動を検知して脳が認識できる信号に変換する働きを持っている(上の画像では、マウスの蝸牛内の微細毛が緑色で示されている)。

例えば、あまりに大きな音で音楽を聴いたりして有毛細胞が損傷すると難聴になる。特定の遺伝子に生じる突然変異にも、これと同様の作用がある。

ネイチャー誌の記事によると、科学者らはCRISPRシステムを脂質でできた微細な泡のカプセルで包み、TMC1遺伝子を治療の標的とした。TMC1遺伝子に生じた突然変異は、有毛細胞が異常な有害タンパク質を産生する原因となり、このタンパク質が蓄積すると有毛細胞が死滅してしまう。 人間でもマウスでも、突然変異したTMC1遺伝子のコピーを1つ受け継ぐだけで、難聴につながる進行性聴力損失が引き起こされる。人間の場合は、数多くの遺伝子が遺伝性難聴と関連付けられている。

耳の中にあり聴力を司っている渦巻状の器官、蝸牛に注入されたCRISPRは、難聴の原因となる遺伝子の破壊に成功した。MITテクノロジーレビューでは以前、この手法がCRISPRを人間に用いる際のよい方法だと考えられる理由について報じた(「遺伝性難聴を劇的改善、「クリスパー点耳薬」中国で実験へ」を参照)。

CRISPRを注入されたマウスの有毛細胞はより多く生き残り、数週間でもとに戻った。聴力を確かめるために、研究者らはマウスの頭部に電極を装着し、脳の聴覚を司る部位の活動をモニターした。CRISPRの治療を施さなかったマウスの聴覚野は、治療を施したマウスよりも大きな音量にさらされなければ活性化しなかった。

エミリー マリン [Emily Mullin] 2017.12.21, 16:33
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