中国人民銀行、フェイスブックの「リブラ」を警戒
中国人民銀行は、フェイスブックが開発したデジタル通貨「リブラ(Libra)」を警戒している。リブラに対抗するため、デジタル通貨を開発する独自プロジェクトの計画を加速させる可能性がある。
中国人民銀行調査局のワン・ジン(王信)局長によると、中国人民銀行はリブラに「大きな関心」を寄せているという。サウスチャイナ・モーニング・ポストは、ワン局長が北京大学で開催された学会で、リブラが世界の金融システムに与える影響について、「リブラが貨幣のように使われた場合、金融政策や経済安定、および国際通貨制度に大きな影響を与えるでしょう」との懸念を表明したと報じている。
中国政府は、リブラの裏付けとなる通貨バスケットにおける米ドルが果たす役割を懸念している。ワン局長は、「リブラが米ドルと密接に連動するならば、米国が実質的な支配権を握ります。そうなると、経済や金融、さらには国際政治の面で一連の影響が出てくるでしょう」という。
中国人民銀行は、2014年にデジタル通貨の研究を最初に開始した中央銀行の1つだが、進行しているプロジェクトの詳細はほとんど公表されていない。だが、リブラがリリースされた場合、世界各国の中央銀行がリブラに対抗するために独自のデジタル通貨を発行する可能性があり、中国がその競争のトップに立つかもしれない。「私たちは早いスタートを切りましたが、世界をリードするためにやるべきことはたくさんあります」(ワン局長)。