人類の活動で「100万種が絶滅危機」、IPBESが報告
新たな報告書によると、人間が生存するために必要な生物多様性は現在、人類史上のどの時期よりも急速に低下している。
国連が支援する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム(IPBES:Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)」の報告書によると、自然生態系はすでになわばりの約半分を失っており、評価した動植物グループの約4分の1が危機に瀕しているという。この傾向は過去50年にわたり、主として漁業と農業により加速してきた。
IPBESの1800ページの報告書は、400人の科学者が1万5000件の研究から引き出したものであり、3年間の世界中の研究と協力の成果である。生物多様性の喪失は、世界の食糧安全保障と真水へのアクセスに重大なリスクをもたらす。いずれも、人間が生きていくために明らかに不可欠だ。
気候変動が変化の直接の原因になっていると同報告書は特定している。もし、地球温暖化をパリ協定の目標とする2°C未満に留められたとしても、ほとんどの生物で種の幅が大いに狭まるだろうと研究は警告している。
IPBESの評価は132の政府で承認されているが、今のところ、結果としての具体的な政策変更は見られていない。著者らは、「変革を起こすような」変化だけが、この傾向を逆転させられるという。生物多様性の喪失の問題は、今年初めてG7の議題となっている。この報告書にある厳しい警告が、新しい発想につながることを願う必要がある。