「デジタル円」発行で中国に対抗を、自民党が提言
日本の与党に所属する有力政治家らは、中国によるデジタル通貨導入計画を警戒しており、この動きへの対応として、「デジタル円」の発行に向けた準備を呼びかけている。
ロイター通信によると、日本の一部政治家は、中国が導入を計画し、「まもなく」運用を開始するとしているデジタル人民元が新興経済国に広く普及し、国際準備通貨としての米ドルの役割を脅かす恐れがあると考えている。自民党の有力議員である甘利明は先週、党の提言をまとめる会合の中で「我々はドル決済を主軸とする安定した金融体制の中で暮らしています」 と述べた。「もしこういった基盤が崩れ、ドルの優位性が揺らぐことになったら、我々はどう対応すべきでしょうか?」
同じく自民党の有力議員であり、党の金融調査会長を務める山本幸三は、日本は中国の動きに後れを取らないよう「今後2、3年以内に」デジタル円の発行を目指すべきであり、「(デジタル通貨の導入は)早ければ早いほどいい」と ロイター通信に語った。
中国はデジタル法定通貨を発行する史上初の主要経済国になろうとしているが、中国以外にも中央銀行によるデジタル通貨発行の取り組みが進行していたり、少なくとも導入を検討していたりする国は多い。山本議員はロイターの取材に対し、デジタル通貨によって国際金融システムにおけるドル基軸体制が揺らぐ恐れがあるが、その一方で、ドルに依存する市場に対しては安定性を高める効果をもたらしうると述べた。「各国がそれぞれの(デジタル)通貨を利用してマネーフローを制御できれば、危機の際に大きな変動を避けることができ、経済の安定につながるかもしれません」。
甘利議員や山本議員らは、米国が議長国を務める今年の先進7カ国(G7)首脳会議で、中国のデジタル人民元導入計画について取り上げるよう求めている(中国はG7の参加国ではない)。 甘利議員は「日本は米国と緊密に連携を図りつつ取り組みを進めていくべきだ」と述べた。