ビットコインが地球の気温を2度上げる?過激な論文に批判
ビットコインが現在どれほどの電力を消費しているのか、あるいは今後どれだけ消費するのかは誰も分からない。ネイチャー・クライメート・チェンジ誌に掲載された新たな分析結果は、ビットコインによる環境への影響をもっとも衝撃的に主張している。ビットコインの採掘(マイニング)による二酸化炭素排出量だけでも、地球の気温をわずか20年以内に2℃上昇させるかもしれないというのだ。
ビットコインの熱烈な愛好家やエネルギー専門家らはこうした仮説や(結論に到達した)方法論を批判し、この論文を痛烈に非難している。だが、ビットコインが膨大な量の電力を使用しているのは間違いなく、単にその規模や影響力を的確に評価するデータが不足しているだけなのだ。
結論を導くにあたって論文の筆者らは、手始めにビットコインの採掘にかかる電力消費量と、採掘用の機器が設置されている国々(特に石炭が安価な中国)での発電で発生する二酸化炭素排出量を把握した。次に、クレジットカードや電気、食洗機といった広く一般に使われているテクノロジーの普及速度に着目した。もしビットコインがそうした日常的に使われるテクノロジーの平均普及速度と同様のスピードで普及すれば、2030年代初頭には壊滅的な地球温暖化を引き起こすことになる——というのが、研究者らの主張である。
採掘プロセスは時間とともに変化するように設計されており、現時点での電力消費量から算出するのは意味がないと反論者らは主張している。また、ライトニング・ネットワークのような技術的なイノベーションによって、ビットコインはもっと省エネ化されていく、との見方も強い。
別の見方もある。ビットコインの採掘量は、ビットコインの価格や電力コスト、採掘機器の性能、政府の政策など付加的な要因によって左右される。そう指摘するのが、データセンターの電力消費に焦点を絞って記述しているジョナサン・クーメイ博士だ。
ビットコインが現在、どれぐらいの電力を消費しているかを把握することですら困難だ、とクーメイ博士は書いている。もっとも現実的な推計ですら、実際の施設からのデータはほとんど含まれていない状態なのだ。「ビットコインによる電力消費にもっと効果的に対応するには、現地調査や現場のデータが必須です」とクーメイ博士はいう。