ロシア当局がVPNプロバイダーに接続要請、9社が「ブラリ入り」か
ロシアのVPNプロバイダーは、国営のITシステムに接続せよとの要請に、30日以内に応じる必要がある。
ロシアの規制当局であるロシア連邦通信局(Roskomnadzor)はこのほど、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)サーバーのプロバイダー10社に対し、国のブラックリストと接続するよう通知した。VPNは安全な暗号化された接続を確立し、ユーザーのコンピューターが別の場所にあるかのように見せかけ、国内で遮断されている特定のWebサイトにアクセスできるようにする技術である。
ロシアのインターファックス通信の先週の報道によると、10社のうち1社、ロシアに本拠を置くカスペルスキー(Kaspersky Lab)のみが当局の要請に応じたという。そのほかの9社は海外に本拠があり、要請を拒否する方針。当局は要請に従わないVPNサーバー自体をブラックリストに登録し、ロシア国内からのアクセスを遮断すると述べている。
連邦国家情報システム(FGIS)は、ロシア国内で禁止されているサービスやWebサイトが登録されているブラックリストである。子どもの性的虐待画像やテロ関連コンテンツ、賭博サイトから、暗号化されたメッセージ、「ゲイ・プロパガンダ(編注:ロシアにおける同性愛宣伝禁止法で禁止されているコンテンツ)」まで登録されている。ロシア政府がこのリストにVPNを追加することで、市民によるWebサイトの検閲回避が難しくなるのは確実だ。
今回の要請の裏付けとなる法律は2017年8月に通過したが、西側企業はあからさまに無視し、法律に従わなかったグーグルなどは昨年12月に7530ドルの罰金を課された。いまやロシアは、インターネット上の自由を厳しく取り締まり、世界的なインターネット・インフラから切り離した独自の「国営インターネット」を創設することに、より積極的な姿勢をとりつつある。