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低迷するテスラのソーラー事業、協業先パナソニックはセル外販
Courtesy: Tesla
Tesla’s trumpeted solar shingles are a flop

低迷するテスラのソーラー事業、協業先パナソニックはセル外販

2016年にテスラがソーラーシティ(SolarCity)を買収して以来、その状況は悪化の一途をたどっているようだ。 また、ニューヨーク州の補助金を使って建設されたバッファローにある10億ドル規模の同社の巨大な太陽光パネル工場(ギガファクトリー2)は、主にパナソニックの工場として稼働していると見られている。

ロイターの報道によると現在、太陽光パネル工場で生産されている太陽電池セルの圧倒的大多数は、テスラの太陽光発電製品である「ソーラー・ルーフ」に使用されるよりも、むしろ海外に輸出されているという。パナソニックはこのパネル工場の提携先。

ソーラー・ルーフは、太陽電池セルを内蔵した一体型の屋根板として設計されており、太陽光パネル商品事業における製品の差別化を図る取り組みであった。だが、その路線は失敗だったようだ。ロイターが入手したカリフォルニア州のデータによると、同州の公益事業者が採用しているソーラー・ルーフの数は、わずか21にとどまっている。また、匿名の元従業員の話として、北東部に至っては、設置されたのは、「ごく少数」であると、ロイターは報道している。

テスラがソーラーシティを買収してから2年余りの間に、同社の太陽光発電設備の架設件数は76%以上落ち込んでいる。

テスラの広報担当者はロイターに対し、8つの州でソーラー・ルーフ製品を「積極的に設置している最中」であると述べたものの、パナソニックからの太陽電池の購入についてはコメントせず、全体の架設件数の開示についても拒否している。

テスラが2016年後半にソーラーシティを26億ドルで買収した際には、ソーラーシティが抱える巨額の負債や、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とソーラーシティとの関係性が激しい批判を浴びた。ソーラーシティの会長を務めるマスクCEOと共同創業者であるピーター・ライブとリンドン・ライブの兄弟は、そのいとこにあたる。ライブ兄弟はテスラによる買収後、同社を退職している。

その後間もなくテスラは、主に中国製の屋上用太陽光発電パネルを販売、設置していたソーラーシティのビジネスモデルを大きく転換したソーラー・ルーフ路線を発表。パナソニックからソーラー・ルーフ仕様の太陽電池を購入する契約を結び、これに伴いパナソニックは、バッファローの巨大工場に2億5000万ドルを投資して専用の生産ラインを立ち上げることに同意した。

パナソニックとの下請け契約も、テスラがニューヨーク州政府から7億5000万ドルの補助金を受けるための要件の1つである、雇用契約を達成するのに役立っている。しかし、2020年までの達成が求められているおよそ1500人の雇用は、いまだその数を下回っていると見られ、財政的なペナルティが課される可能性がある。一部の州議会議員はこの協定への厳しい批判をすでに展開している

テスラは稼働状況の改善と、中国を主とする外国製の低価格パネルが大部分を占めている業界での地位の獲得に悪戦苦闘している。

2018年にはホーム・デポとの数カ月間の小売販売提携を終了し、複数の太陽光発電施設を閉鎖した結果、テスラの太陽光発電部門では数千人が解雇されたと伝えられている。 また同部門は、屋根一体型パネルの外観と性能に関する問題にも直面していた。

2018年末のブルームバーグの記事によると、その段階でテスラは、バッファローの工場で複数の生産ラインを稼働させているはずだった。だが、実際に稼働していたのは、わずか1つだけだったという。

またブルームバーグの記事では、テスラがパナソニックとの密接なコラボレーションと呼ぶ提携関係とは裏腹に、パナソニックの生産はテスラと区別され、工場の建物の反対側で生産されていることを指摘している。パナソニックがソーラー・ルーフ・セルを製造する中、テスラは「それらの外観とコストを問題視」しており、中国のメーカーにも目を向けているという。

現在のところ、テスラが太陽電池セルをどの程度パナソニックから仕入れ、太陽光屋根板またはパネルをどの程度自社生産しているのか、正確には分かっていない。だが、その生産量はテスラが当初バッファローの工場で生産すると豪語していた、年間1ギガワットの太陽光発電容量のごく一部に止まっているようだ(「10 Breakthrough Technologies 2016: SolarCity’s Gigafactory」参照)。

ジェームス・テンプル [James Temple] 2019.05.30, 5:06
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