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イーサリアムに登場した予測市場に著名人の「暗殺予告」リスク
John Wardell | Flickr
The latest blockchain use case: anonymously betting on public-figure death pools

イーサリアムに登場した予測市場に著名人の「暗殺予告」リスク

特定の出来事が発生するか否かを賭けられる「個人間の予測市場」を、利用者個人が作成できるイーサリアム・ベースの新たなアプリケーション「オーガー(Augur:占い師)」に、早くも暗い影が忍び寄っている。

2018年7月、「フォーカスト財団(Forecast Foundation)」と呼ばれる非営利団体によって立ち上げられたオーガーには、すでに米大統領の暗殺が起きるか否かを賭けるための予測市場が作られてしまったのだ。

実際には一部の人たちを除いて、オーガー内でいきなり死亡予測市場が立ち上がったことに驚いた暗号通貨愛好家は少ない。ドナルド・トランプに加え、すでにジェフ・ベゾス、 ウォーレン・バフェット、ベティ・ホワイトの死亡も賭けの対象となっていた。Webメディア 「マザーボード(Motherboard)」の指摘通り、このような「暗殺市場」という概念は何十年も前から存在していた。しかし、匿名で賭ける仕組みが誕生した今、恐ろしいことは、誰かの死に賭けられた賭け金欲しさに、実際に暗殺に動く人間が出てくることだ。

この悪夢のような展開が、今すぐ起きるとは思えない。暗殺市場では、これまでほんのわずかしか取引がなかったからだ。ただ、もしなにか事件が起きたとしても、オーガーの開発者に責任を問えるのだろうか。運営者であるフォーカスト財団は、責任を問われることはありえないと考えているようだ。オーガーのWebサイトの「よくある質問」に次のような記載がある。「フォーカスト財団は、人々がオーガー上でどのような市場や行動を作成または実行するかについて、操作したり制御することはありません。また、実際に制御することはできません」。

マイク オルカット [Mike Orcutt] 2018.07.31, 6:55
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