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日本発宇宙ベンチャー・アイスペースの月面着陸計画が始動 The Next Moon Mission Might Be Sponsored By a Soda Company

日本発宇宙ベンチャー・アイスペースの月面着陸計画が始動

次に人類が月の表面に降り立つ時、そのシーンは最初に訪問したときとはやや違うものになるかもしれない。国名で飾り立てられた不格好なポッドから宇宙飛行士が歩いて出て来て、旗を立てるようなものではないだろう。

NASCAR(全米自動車競争協会)のスポンサーシップでめかし込んだ月面着陸船、そして完璧なマーケティング写真を撮れるように配置された「コカ・コーラ ゼロ」や「バンク・オブ・アメリカ」のロゴ入り横断幕がちらりと見えるのを想像してみてほしい。

これが、東京に拠点を置くスタートアップ企業、アイスペース(ispace)が見込んでいる宇宙の未来だ。「人類は貧しくなるために星に向かっているのではありません」と、アイスペースの創立者である袴田武史CEO(最高経営責任者)は話す。「ですから、宇宙空間に経済を創出することが非常に重要なのです」。

ブルームバーグによると、アイスペースは月面にいわば看板を置く提案さえしている。「プロジェクション・マッピング面」が企業のロゴを月の表面に映し出し、完璧な販売促進用写真を撮れるようにするのだ。確かに画像を単にフォトショップで加工してもいいが、アイスペースは人々は本物のためにおカネを払うと考えている。

この可能性を信じている人たちはほかにもいるようだ。2020年までの月面着陸を計画しているアイスペースは、2017年12月13日、月面での広告や民間実験のために9000万ドルを調達したことを公表した。さらに広く見れば、宇宙は、資源の権利を最初に主張したいと欲したり、最後の未開拓の領域を収益化する何らかの方法を見つけたいと思っていたりする起業家や投資家を魅了している。付近を浮遊している鉱物をつかむことを当てにする小惑星採掘会社から、宇宙探査からビジネスを創出しているイーロン・マスクに至るまで、少なくとも自身のアイデアの具現化を支援するような現金を持っている人びとにとって、私たちの太陽系は可能性に満ちている。

2017年12月11日にドナルド・トランプ大統領が、米国の宇宙開発プログラムの重点を月に戻すという新しい指令に署名したこともあり、人類の宇宙への展開のターゲットとして月に再び焦点が当てられている。ただし、初めての月面着陸から約50年経った今度は、米国航空宇宙局(NASA)の宇宙船は、空飛ぶ広告と一緒に飛行することになるかもしれない。

エリン・ウィニック [Erin Winick] 2017.12.15, 15:30
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