
ニューヨーク証券取引所の親会社、ビットコイン先物取引市場を開設
インターコンチネンタル取引所(ICE)は、ビットコイン先物取引を提供する独自のデジタル資産市場「バックト(Bakkt)」をついに立ち上げた。9カ月近く遅れたが、多くの人々がこの立ち上げを、デジタル資産が主流に受け入れられるための重要な一歩と見なしている。
先物取引とは、将来の特定の期日に、特定の価格で特定の商品を売買するという法的契約である。米国では、ビットコイン先物取引は商品先物取引委員会(CFTC)の規制下にあり、資産への直接投資よりも従来型の金融機関にとって魅力的である可能性がある。投資家は先物取引を通じて価格下落に賭けることができ、価格変動リスクを回避するヘッジ手段としても利用できる。
ICEの競合であるCMEグループは、2017年12月からすでにビットコイン先物取引を提供している。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、現在では1日平均2億ドル以上のビットコイン先物が取引されている。
新しい先物取引市場であるバックトの特徴は、史上初の「現物決済」である。つまり契約が満期を迎えたとき、ビットコインそのもので決済が行われる。これに対し、CMEグループの契約は現金で決済されるため、トレーダーが実際にデジタル通貨を扱うことはない。
バックトの仕組みにおいて極めて重要なのが、顧客のデジタルコインを保管するためのビットコイン「倉庫」である。実際、立ち上げが遅れた大きな理由は、この倉庫の最適な設計についてICEとCFTCの協議が長期化したことにある。暗号資産は暗号鍵により所有権が管理され、トランザクションが不可逆であるため、独自の課題を抱えているのだ。
バックトが重要視されている理由の一つは、ICEが2018年8月にバックトの計画を発表した際に、スターバックスやマイクロソフトなどと提携し、「シームレスなグローバルネットワーク上で、消費者および企業がデジタル資産を売買・保管・利用できる統合プラットフォーム」を提供すると約束したことである。また、ICEはこのプラットフォームが規制当局の監督下に置かれ、透明性が確保されることを強調した。
バックトは、主流の金融機関がデジタル資産に抱く懐疑的な見方を払拭しようとしている。そして将来的には、金融機関のみならず一般消費者も対象とする、より大規模な市場への扉を開くと見込んでいる。そのため、CFTCによる保管サービスの承認は、新たな先物取引の提供と同様に重要な意味を持つ。
