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米国を襲う大寒波、北極圏の温暖化が影響?
NASA | Flickr
The Science Linking Arctic Warming to This Crazy-Cold Winter

米国を襲う大寒波、北極圏の温暖化が影響?

急速な温暖化により、北極圏の海氷が溶け、永久凍土層が融解して海面上昇が加速していることはよく知られている。だが、直感に反して、現在、米国東部を容赦なく凍らせているような寒波を増幅させる可能性もあると指摘する研究が相次いでいる。

温暖化がどうして寒波に結び付くのだろうか。ラトガース大学のジェニファー・フランシス教授を含む数人の気候科学者は、北極圏における気温上昇と海氷の減少が、以前より蛇行したジェット気流を生むかもしれないと考えている。大きく蛇行したジェット気流によって、通常は北極上空の極渦に閉じ込められている冷気の細長い気圧の谷が、中緯度地方まで降りて広がってくる。それが持続的な寒波を作り出して、吹雪の可能性を高めることになるというのだ。

だが、科学的には未だ決着していない。ジェット気流が大きく狂い出し、それらの変化が北極圏の変動と大いに関係しているという証拠は集まりつつある。

米国大気研究センター(National Center for Atmospheric Research)の気候科学者であるケヴィン・トレンバース教授は、2016年11月にワシントン・ポスト紙でこう強調している。「すべてとは言いませんが、北極圏とジェット気流に関するほとんどの研究は、明確な物理的因果関係が不足していることが問題です」。

ジェームス・テンプル [James Temple] 2018.01.10, 12:56
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