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米国務長官更迭、気候変動にも影響不可避
Photo by Patrick Hendry on Unsplash
Think Rex Tillerson was bad on climate change? His successor’s likely to be worse.

米国務長官更迭、気候変動にも影響不可避

米国務長官の解任は、地球の気候にとってより悪いニュースだ。

ドナルド・トランプ大統領は、3月13日にレックス・ティラーソン国務長官を解任した。ツイッターで発表するという非常に公然としたやり方だった。同じツイートで、マイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官を後任候補として指名した。

ポンペオ長官の強硬な外交政策姿勢や、イランとの核合意への反対、諜報問題の政治化についての論評は他の報道に任せておこう。だがポンペオ長官の指名は、クリーン・エネルギーと気候変動に関する深刻な懸念をも引き起こす。ポンペオ長官は歯に衣着せぬ地球温暖化の懐疑論者だからだ。

石油大手エクソンの前CEO(最高経営責任者)であるティラーソンは、確かにクリーン・エネルギーの支持者ではなかった。だがハーバード大学の経済学者であるロバート・ステイヴィンス教授はブログで、ティラーソンがどんな欠点を持っていたにせよ、気候問題に関しては「少なくとも大人」であり、「人間が招いた気候変動という科学的な現実」を認めており、炭素税を支持して、気候変動に関するパリ協定を「将来への重要な一歩」と呼んでいたことに言及している。

一方でポンペオ長官は、オバマ政権の気候に関する計画はあまりにも行き過ぎだと考えている。気候変動を国家安全保障上の問題とする前大統領の信念を、「無知で、危険で、まったく信じがたいものだ」と見なしている。

ポンペオ長官はどんな悪影響を及ぼし得るだろうか?  気候変動の問題に関してトランプ政権は、親しい同盟国を含む世界の大多数からすでに疎遠になっている。ここでポンペオ長官がけんか腰の外交政策を採れば、気候問題に関する各国の不安定な関係と、始まったばかりの取り組みの勢いにさらなるダメージを与えかねない。

「ポンペオ長官の政権入りが米国上院の承認を得るとすれば、ドナルド・トランプ大統領下の悲惨な統治状況の短い歴史に、さらなる不幸な時期が刻まれることになるだろう」とステイヴィンス教授は綴っている。

 

ジェームス・テンプル [James Temple] 2018.03.14, 12:57
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