KADOKAWA Technology Review
×
Courtesy of Iron Ox
ニュース Insider Online限定
New autonomous farm wants to produce food without human workers

「技術ではなくレタスを売る」全自動農園を目指すロボ企業

サンフランシスコ近郊に新たに開設された自動化農園では、「ザ・ブレイン」と呼ばれるソフトウェアの監視のもと、機械が緑葉野菜を栽培している。農業従事者の減少と生鮮食料品の輸送距離という2つの課題を解決することが、この農園の目標だ。 by Erin Winick2018.10.05

アイアン・オックス(Iron Ox)は、一風変わったロボティクス企業である。この企業が顧客に売り込もうとしているのは、テクノロジーではなく食品なのだ。

共同創業者のブランドン・アレクサンダーCEO(最高経営責任者)はいう。「我々が運営するのは農園です。それはこの先も変わりません」。

だが農園と言っても、普通の農園ではない。手始めに、この会社に勤務する15人の従業員は、何列も続く葉物野菜の手入れを黙々とこなすロボットと作業場を共有している。

10月3日、アイアン・オックスはサンフランシスコ近郊のサンカルロスに初の生産拠点を開設した。オフィスと隣接して設けられた敷地面積約740平方メートルの屋内水耕栽培施設は、年間約2万6000株のペースで葉物野菜を生産する。通常の屋外型農園の5倍以上の生産性だ。施設は、現在不足傾向にある生身の農業労働者に代わってソフトウェアとロボット工学が仕事をこなす完全自動農園を作り出すという、同社の壮大な構想の実現に向けた大きな一歩だ。

アイアン・オックスは生産した野菜をまだ販売していない(多数の地元レストランや食料品店と話し合いを進めている)。よって、何万という数のレタスは、当面は地域のフードバンクと、自社のサラダバーに提供される。レタスが大好物でないと、この会社で働くのは厳しいかもしれない。

レタス …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
生成AI革命

自然な文章を生成するチャットGPT(ChatGPT)/GPT-4などの大規模言語モデル、テキストから画像を生成できるDALL·E 、Stable Diffusion、Midjourneyなどの拡散モデルの登場は、私たちの生活やビジネスを大きく変えようとしている。
人工知能(AI)の新時代を牽引する「生成AI(ジェネレーティブAI)」革命の最前線を追う。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る