太陽光 + 海水 = トマト
技術の壮大な無駄遣い
サンドロップ・ファームズが巧みな仕組みと材料を組み合わせて食料を生産している。だが、技術の無駄使いで本当に困っている地域には役に立たない。 by Michael Reilly and Jamie Condliffe2016.10.07
急激に膨れ上がる世界人口を養い、気候変動が引き起こす最も悪い影響である砂漠化に対処するために砂漠でフルーツを育てるのは、一見すると非常にいいアイデアに思える。温室開発企業サンドロップ・ファームズが南オーストラリアで運営する農場では実際に、太陽光で海水を淡水化し、本来なら干上がっているはずの土地でトマトを栽培している。
ファーマーズ・ウィークリー紙によると、 総額1億5000万ドルを投じた施設は、2万3000枚の鏡で太陽光をタワーに集め、淡水化装置を動かすエネルギーにしている。近くのスペンサー湾から汲み上げた海水から、一日最大100 万リットルもの真水が生産されている。
その結果が大量のトマトだ。農場は毎日トラック8台分のハウス栽培トマトを出荷しており、稼働率を最大にすれば、収穫量は年に1万5000トン以上になると見られている。

たしかに素晴らしい成果だが、一方では、太陽光発電施設を野菜や果物の栽培に使うのは単純にいってあまり意味がない、という議論もある。ニュー・サイエンティスト誌の取材に対し、ニューイングランド大学(オーストラリア)のポール・クリスチャンセン教授は「巨大ハンマーでニンニクのかけらを潰すような感じですよ。こんなことをしなくても、オーストラリアではトマトを育てられますし」と答えた。
クリスチャンセン教授のいうとおりだ。淡水化技術は多くの分野で注目されているが、 その大半は逆浸透法を利用しており、高額な費用がかかる上に多くのエネルギーを消費する。つまり実質的には、水の確保に問題を抱えていて、しかも設備の設置、運用、維持に必要な人員や予算のある場所でしか、淡水化施設は役に立たないのだ。
より安価な淡水化の手法が確立され、気候変動の影響で真水の供給が減少すれば、そうともいえないかもしれない。だとしても、淡水化テクノロジーは貧しい地域(残念なことに、気候変動への対処に最も苦労する)では普及しそうにない。この問題に対処する上で重要なのは、温室の中で植物を保護することではなく、砂漠でもしっかり生き延びる作物を生み出せるかどうかだろう。
(関連記事:Farmers Weekly, New Scientist, “To Make Fresh Water without Warming the Planet, Countries Eye Solar Power,” “10 Breakthrough Technologies 2015: Megascale Desalination”)
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| クレジット | Image courtesy of Sundrop Farms |
