KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
ハリケーン予想進路図の「再デザイン」が必要な理由
NASA/NOAA GOES Project
ニュース 無料会員限定
Designers are reinventing hurricane maps for an era of extreme weather

ハリケーン予想進路図の「再デザイン」が必要な理由

今月、米国へ上陸した大型ハリケーンは洪水や暴風雨による甚大な被害をもたらした。異常気象の脅威が高まる中、住民の安全を守るために、より多くの人にとって分かりやすい情報伝達の手法が求められている。 by Karen Hao2018.10.23

米国立ハリケーン・センター(NHS)が発表した予想進路図を見てほしい。

どのように解釈したらよいのか教えられていない状態で、あなたはこの予想進路図から何を見て取れるだろうか。

ハリケーンはワシントンからトロント、ボストンまでを飲み込むモンスター級の大嵐になるように見える。だが、それは正しい理解とはほど遠い。実際の予想進路図は、今後5日間のハリケーン(この例では2012年のスーパー・ハリケーン「サンディ」)の進路の予想範囲を示している。白で塗りつぶされた範囲は1日目から3日目までの、白点の範囲は4日目と5日目の予想進路を示している。双方の範囲の中心線沿いにある黒と白の丸は、ハリケーンが最も確率の高い進路で推移した時の「目」の位置を示しており、丸のなかの文字は、この嵐が熱帯暴風雨(S:tropical storm)あるいはハリケーン(H:hurricane)のどちらであるかを表している。

こういった情報すべてを合わせてできあがるのが、「あてにならない暴風警報球」なのだ。ハリケーンがどこに向かうか、その信頼度はたったの67%である。つまり、実際の進路が図に描かれた範囲内に収まる割合は3分の2でしかない。

このことが図から読み取れない人は多い。だが、ある場所から避難するか判断を迫られている場合、問題はとても深刻だ。

気象予報の仕事には不確実性がつきものだ。気象予測の進歩によってモデルの精度が向上し、より確実な予報が可能になったおかげで、予報士たちはサンディの特異な進路と勢力拡大を8日前に予測できた。だがその成果 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る