KADOKAWA Technology Review
×
トランプ候補を完全論破 適当なコスト計算をするな
カバーストーリー 無料会員限定
Bad Math Props Up Trump’s Border Wall

トランプ候補を完全論破 適当なコスト計算をするな

アメリカとメキシコの国境沿いに壁を作るのは賢い選択なのか、その費用は誰が払うのかという疑問はさておき、ドナルド・トランプ候補が公約に掲げている「壁」を、主張通りの費用で建設するのは不可能だ。 by Konstantin Kakaes2016.10.19

不法移民を阻止するため、アメリカのメキシコの国境沿いにコンクリートの壁を建設する公約を掲げているドナルド・トランプ候補。壁の建設費用は8億~12億ドルだというが、その程度で済む可能性はまずなさそうだ。

現在メキシコとの国境に設置されているフェンスを見れば明らかだ。トランプ候補は当初、約3220kmの国境の端から端まで壁を建設するとしていたが、その後、山などの自然の防壁により不法移民の流入が防げるため、壁の建設は約半分の長さでいいだろうと発言した。トランプ候補が壁を建設するメキシコ国境沿いにはすでに約1050kmに渡ってフェンスが設置されている。場所ごとに起きやすい侵入手法に合わせ、車両による侵入を防止する設計だったり、徒歩での侵入を想定した設計になっていたりする。フェンスの設置には、2006年から現在までに23億ドルの費用がかかっている。

もしフェンスではなく壁を作るとすれば、それも本当に、トランプ候補が公約として掲げている高さ10~20mの鉄筋コンクリート製の壁を作るとすれば、費用は一気に跳ね上がる。全長約1600km、高さ約15mの壁を想像してみてほしい(15mは、想定する高さの幅としてトランプ候補が持ち出した10~20mの間をとった高さ)。さらに、壁は地下 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
  2. The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
  3. Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
  4. Geoffrey Hinton tells us why he’s now scared of the tech he helped build ジェフリー・ヒントン独白 「深層学習の父」はなぜ、 AIを恐れているのか?
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者は11月発表予定です。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る