KADOKAWA Technology Review
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A Hotter World is Poorer and More Violent

地球温暖化で得をするのは誰か? 南アジアやアフリカで何が起きるか?

気候変動によって社会が混乱したり、世界のGDPの大幅な低下といった経済的な損失が発生することが、最新の研究で判明した。 by David Rotman2016.10.21

激しい気候変動に苦しめられる地球は将来どうなるのか、誰も本当のことはわからない。しかし、カリフォルニア大学バークレー校公共政策学のソロモン・シアン教授は、経済と気候の最新のデータ分析に基づいた将来の地球の姿をEmTech MIT 2016の講演で披露した。データのおかげで温暖化が進んだ世界の姿が以前よりも明確になりつつある。

気持ちのよい予測ではない。気温の上昇によって、農業生産高や人類の健康は著しい損害を被る。また、地球全体の経済成長は大きく低下するだろう。実際、シアン教授がいうように、気候変動がほとんど今のまま進行すれば、地球温暖化が発生しなかった場合と比較して、今世紀の終わりまでに世界のGDPは23%低下することがデータによって示されている。

経済生産の低下による打撃は、貧しい側に分類される世界の60%の人々に偏る、とシアン教授は述べた。そうした状況では、世界の中でも豊かで、北ヨーロッパのように年間気温が平均よりも低い地域の多くが気候変動から恩恵を受けるため、不平等が確実に拡大する。熱帯地方周辺には南アジアやアフリカの多くの地域が含まれるが、この地域ではすでに貧困が発生しやすく、将来は貧困にあえぐことになる。

Simulations of two possible future worlds in 2100; the world if climate change is largely unabated (left) and with an aggressive climate policy (right). In the simulation, richer economies glow brighter.
2100年時点で考えられる2つの未来のシミュレーション結果。気候変動がほとんど今のまま進行した場合(左)と積極的な気候政策が採られた場合(右)。シミュレーションは、豊かな地点ほど白く表されている。

人々の生活のさまざまな面に「気温は大きな影響力がある」ことが、この研究から得られる洞察だとシアン教授は説明した。極端に暑い気温は製品の製造から乳児死亡率、個人や集団の暴力に至るまで、あらゆることに悪い影響を強く及ぼすことが明らかになっている。「順応することが必要になるでしょう。しかし、多くの費用が掛かるため、順応は困難です」とシアン教授はいう。したがって、シアン教授が示すように、さまざまな部門でコストを低下させるためのイノベーションや新しいテクノロジーが必要になる。

それでも、自分はまだ楽観的であるとシアン教授はいう。近年コンピューターの性能が向上し、膨大な量のデータを利用できるようになった。これは、気候変動がより深刻化した際の経済と社会の詳細な変化を事前に理解できるようになったことを意味する。さらに、情報があれば損害を最小限に抑えたり「どのような世界に住みたいかを決定したりできる」とシアン教授は語った。

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クレジット Photograph by Justin Saglio; Image courtesy of Burke, Hsiang, & Miguel (Nature 2015)
デビッド ロットマン [David Rotman]米国版 編集主幹
MIT Technology Review編集者として、多くの時間を費やしてストーリーのタイプや読者に最高の価値があるジャーナリズムについて考えています。好奇心旺盛で博識な読者は、エマージング・テクノロジーについて何を知るべきか? 著者として、私が最近特に関心があるのは、化学、材料科学、エネルギー、製造業と経済の交わりです。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

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