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On the Edge of Automation ウーバーには、人間以外にリストラする要素がない

ベンチャーキャピタリストのスティーブ・ジャーベトソンは今から500年後、この星の人口の10%以下の人しか給料を受け取る仕事をしないだろうという。来年はどうか? by Nanette Byrnes2015.09.29

ベンチャーキャビタル企業ドレーパー・フィッシャー・ジャーベトソンの創業パートナーであり、スペースXとテスラモーターズの取締役のひとりとして、スティーブ・ジャーベトソンは多くの時間を未来について、それもたいてい遠い未来について考えることに費やしている。イーロン・マスクCEOの最大の支援者であるジャーベトソンは、テスラ モデルSの1台目を所有しているのが自慢だ。ジャーベトソンは、ホットメールの創業期の投資者であり、初めて合成細胞を作ったクレイグ・ベンターのシンセティック・ゲノミクスの取締役でもある。

Production at Ford Motor Company’s new engine plant in Elabuga, Russia, will be 95 percent automated.

ロシアのエラブガにあるフォード・モーターの新しいエンジン工場では、工程の95%が自動化される予定だ

ジャーベトソンは、投資先企業は、過去5年間に2万以上の仕事を生み出し、約20社を、売却・上場前までに10億ドルの企業価値にまで引き上げたという。ジャーベトソンは、ビジネスレポート担当のナネット バーンズ上級編集者に、ジャーベトソンが今から500年後には90%の人が失業すると考える理由、そして私たちがどのように、そんなまったく異なる未来に移行するかについて話した。

現在の新しいデジタルテクノロジーは仕事を減らしているのか、それとも作り出しているのか?

私は短期、または中期的には、今まで常にそうであったように、正味で、仕事は作り出されていると完全に信じています。ウーバーの仕事を考えてみても、雇用の機会は、ある意味、サービス経済に(インターネットを通じて)行き渡るように完全には適合していません。サービス経済は商品経済よりも大きいため、オンライン上で同じ価値を提供できれば、物理的な商品のオンライン市場よりも大きく、強力になるはずです。

「今から500年後には、誰もがなんらかの種類の情報、もしくは娯楽業に携わるようになるでしょう。農家はなくなり、また製造業に従事する人もいなくなるでしょう」

新しい仕事の多くは、ウーバーでの仕事も含め、いわゆる「自動化の瀬戸際」を具現化しています。このような仕事はテクノロジーの進化により、すぐになくなってしまうでしょうか?

Steve Jurvetson

スティーブ・ジャーベトソン

ウーバーでは、ドライバー以外すべてが自動化されています。請求も客引きもです。あらゆる部分が最新で情報中心の会社です。興味深いことに、ようするに、自動運転自動車が実用化されれば、ドライバーはすぐにいなくなってしまうことです。それ以外に、ウーバーのビジネスにリストラする必要のある部分はありません。

私たちが現在人間に任せているのは、コンピューターがかろうじてできないことです。ムーアの法則と、コンピューティングにおける向上から、2年か3年のうちに、その仕事(のほとんど)は自動化されることもわかっています。

スタートアップ企業や新しいビジネスベンチャーが、人間の労働力を必要とする仕事を創出したとすれば、それはごく些細なものでしかありませんでした。テクノロジーを支持していても批判していても、自動化社会に移行する速度は、恐らく、かつてなく速いでしょう。大きな混乱があると予想できます。

どの仕事が生き残るか?

長い目で見れば、今から500年後、誰もが何らかの種類の情報、もしくは娯楽業に従事することになります。500年後、この星には肉体的で反復的な作業によって生計を立てる者はいなくなります。農家も、製造業に従事する人もいなくなります。私は、人が肉体的な反復作業をすることはありえないと思います。娯楽ではするかもしれません。ただ大好きだからという理由で家の庭で有機栽培をするかもしれません。今から500年後、この星の10%の人でさえ、何かをして給料をもらうという意味で仕事のある人がいるかどうか、私にはわかりません。

どのような生活を送るようになるのかは想像しがたい。

今までの人間の歴史上そうだった生活とほとんど同じでしょう。ただ、ぞっとするような苦役がないだけです。「仕事」はかなり新しい概念です。数百年さかのぼれば、誰もが奴隷か、農奴でした。あるいは科学、哲学、芸術を追求するために奴隷や農奴に頼って生きていました。私たちはこれからロボットの生産に頼って生きることになり、次代のアリストテレスやプラトンやニュートンになる自由があります。ただ、忙しく働かざるを得ない事情があれば別ですが。

そのような劇的な移行の痛みを最小限に抑える方法、政府の政策か戦略などはあるでしょうか?

ワシントンにいる誰も、この問題について考える余裕を持っているとは思えません。50年先を考える政治家などいないのです。長期的な思考が政策を決定する可能性はゼロだと思います。

シリコンバレーも大問題とは捉えていなさそうです。

多くの投資家が、何かの些細な改善がもたらす短期的な甘い蜜を追いかけていることを、私は非常に残念に思っています。歴史の本に書き記されるようなことは何もありません。シリコンバレーにあるのは、多くの場合、早く簡単に金儲けをする方法です。大きな視点を持つ起業家が増えてきているとは、もちろん思います。このような起業家を私たちは見つけ出し、資金を援助するべきです。そのうちの多くの者は失敗しますが、成功する者は世界を変えます。それが進歩というものです。

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クレジットPhoto by Andrey Rudakov/Bloomberg | Getty Images
ナネット バーンズ [Nanette Byrnes]米国版 ビジネス担当上級編集者
ビジネス担当上級編集者として、テクノロジーが産業に与えるインパクトや私たちの働き方に関する記事作りを目指しています。イノベーションがどう育まれ、投資されるか、人々がテクノロジーとどう関わるか、社会的にどんな影響を与えるのか、といった領域にも関心があります。取材と記事の執筆に加えて、有能な部下やフリーライターが書いた記事や、気付きを得られて深く、重要なテーマを扱うデータ重視のコンテンツも編集します。MIT Technology Reviewへの参画し、エマージングテクノロジーの世界に飛び込む以前は、記者編集者としてビジネスウィーク誌やロイター通信、スマートマネーに所属して、役員会議室のもめ事から金融市場の崩壊まで取材していました。よい取材ネタは大歓迎です。nanette.byrnes@technologyreview.comまで知らせてください。
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