KADOKAWA Technology Review
×
カバーストーリー 無料会員限定
Chatbots with Social Skills Will Convince You to Buy Something

コミュ力の高いボットは熟練販売スタッフのように商売上手になる

話し相手との関係性を築くしぐさや、非言語的意味を読み取るバーチャルアシスタントなら、イライラしないで済む。実際、驚くほど口が達者だ。 by Will Knight2016.10.27

アレクサやSiriに続く音声認識技術は、驚くほど口が上手いかもしれない。

ピッツバーグ(ペンシルベニア州)で開催されたテック系カンファレンスで、優れた説得力のあるチャットボットの初期バージョンが展示された。「サラ」というボットは、ちょっとしたやりとりと冗談を交わしたあと、カンファレンスに来場した数人と会うように勧めてくれた。その勧めは本当に上手で、その人たちには会ったことはなかったが、サラの勧めに従ってみることにした。

サラはカーネギーメロン大学で人間とコンピューターの交流に関する研究のディレクターを務めるジャスティン・カッセル副学科長が開発したチャットボットだ。カッセル副学科長の研究はバーチャル・エージェントが会話中のちょっとしたしぐさから話し相手との信頼関係を築き、情報を伝えたり、より効率的に何かをしたりするように説得する方法を研究している。

この研究は、より便利なチャットボットが実現する可能性を示している。ほとんどのボットはいまだにぎこちなく、すぐに会話がぎくしゃくしてくる。そもそも、より深い言語理解に至るにはまだ長い時間がかかるだろう。しかし、会話中のしぐさを使えば、こうしたツールの会話がぎくしゃくしてくるのを減らし、より効率的にできる。すでにこの手法を自社のバーチャル・ヘルパーの改善に使おうとする大企業もあるようだ。

確かにサラとの会話はよくあるチャットボットに話しかけるよりもイライラが少ない。システムが会話を通じて話し相手が使う語彙を学習し、話し手の声のトーンまで読み取る。また、複数のカメラで話し手の顔の表情や頭の動きも学習する。ちょっとしたしぐさをもとに、プログラムが話し相手の信頼関係を築くために選んだ適切な答えを決めるのだ。たとえばサラは、笑顔でうなずくのを見ると、すぐに謙遜した返事を返してきた。

「世間話を使うチャットボットはいろいろありますが、どれも使い方がデタラメで、便利とはいえません。実際の人間は、何かの目的があって、世間話をするのです」(カッセ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る