KADOKAWA Technology Review
×
電子機器さらに小型化へ、北陸先端大のグラフィン製ナノスイッチ
Hal Gatewood | Unsplash
ニュース 無料会員限定
Nano-switches made out of graphene could make our electronics even smaller

電子機器さらに小型化へ、北陸先端大のグラフィン製ナノスイッチ

MEMS(メムス)デバイスのサイズを今よりも小さくできれば、電子機器をさらに小型化できるはずだ。しかし、従来の手法で小型化すると、スイッチオフ状態での漏電が問題となる。北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが初めて、シリコンチップで使えるグラフェン製スイッチを作製し、この問題を解決した。 by Emerging Technology from the arXiv2019.02.22

MEMS(メムス=微小電気機械システム、Micro Electro Mechanical Systems)デバイスは、みなさんもお持ちだろう。たぶん数十個は持っているかもしれない。MEMSデバイスは現代社会を埋め尽くしている。ちょっと数えただけでも、スマートフォンの加速度計やノートパソコンのマイク、デジタルプロジェクターのマイクロミラーなど枚挙にいとまがない。

MEMSデバイスは通常、数ミクロンの大きさだ。あらゆる基準に照らして小さいと言える。しかし、科学者やエンジニアは、可能であれば、ナノメートル規模までの小型化したいと考えている。そのようなサイズになったMEMSデバイスは、論理デバイスやメモリー素子の単純なスイッチとして使えるため、さらに強力で効率的なデータ処理機器の展望が開ける。

MEMSデバイスは通常、シリコンチップ上に加工される。しかしシリコンスイッチはオフの状態で漏電するため、小型化するにつれて効率が下がってしまう。優れた選択肢としてグラフェン(炭素原子のシート)製スイッチを使うことがある。グラフェン製スイッチはナノメートル規模での加工が容易で、従来のシリコンチップにも比較的容易に組み込めるうえ、スイッチをオフにした際にも漏電がない。

 

しかし1つ問題がある。グラフェンは、シリコンに触れると、急速に固着してしまう傾向があるのだ。曲がりやすいグラフェンの棒があり、その棒がシリコン電極に触れると回路が形成されるス …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. We finally have a definition for open-source AI 「オープンソースAI」問題ついに決着、OSIが定義を発表
  2. Here’s how people are actually using AI カネにならない生成AIブーム、LLMはどう使われているか?
  3. The US physics community is not done working on trust 物理学界で繰り返される研究不正、再発防止には何が必要か
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る