マウントゴックス破綻、データマイニングで新事実が浮上
2019年4月以降、ビットコインの価格上昇が続いており、6月後半には約1年5カ月振りに1万2000ドルに達した。一方で、2013年に起こった世界最大のビットコイン取引所の突然の破綻の真相は、依然として藪の中だ。だが、最近になり、2014年に漏洩したデータを基にした新しい分析によって、非常に疑わしい取引パターンのいくつかが明らかになった。 by Emerging Technology from the arXiv2019.07.01
2013年当時、世界最大のビットコイン取引所であるマウントゴックス(Mt. Gox)は、ビットコインの全取引の70%以上を取り扱っていた。マウントゴックスは前途洋洋に見えた。
しかし、2014年2月、マウントゴックスは取引を中止してWebサイトを閉鎖し、破産申請をした。約85万BTC(ビットコイン)が消失し、おそらく盗まれたであろうと主張したのである。それ以来、マウントゴックスは、資金を回収しようとする債権者が起こした訴訟に悩まされている。
マウントゴックスでいったい何が起こったのかは、依然として明らかにされていない。噂によると、マウントゴックスにはビットコインの価格操作を目論むアカウントがたくさんあったという。しかし、このような活動の証拠を集めることはこれまで困難であった。
しかし、中国の中山大学のウェイリー・チェンと同僚らの研究のおかげで、その状況が変わりそうだ。チェンたちによると、2014年にマウントゴックスが破綻に至るまでの重大な市場操作の証拠をつかんだという。彼らは、暗号通貨市場が将来、市場操作を防ぎ、潜在的な投資家を安心させるためには、何としても監視の強化が必要だと述べている。
チェンたちのチームの手法は、2011年4月から2013年11月の間にマウントゴックスで実施された取引のネットワークを基にしている。このデータは不思議なことに2014年にインターネット上で漏洩したものであり、ブロックチェーンの記録から入手できるデータよりずっと詳細である。様々なグループがこのデータを調べてきたが、こうした方法でネットワークの特性を分析したのはチェンたちが初めてである。
チームはまず、それぞれの取引が、ビットコインの一般的な取引価格とほぼ同じ価格で実施されているかどうかを調べた。すると驚いたことに、かなりの数の取引が基準価格よりはるかに高いか、はるかに低いレートで実施されていた。
たとえば2013年8月30日のビット …
- 人気の記事ランキング
-
- A new way to build neural networks could make AI more understandable ニューラルネットの解釈性を高める新アプローチ、MITなど提案
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #30 MITTR主催「生成AIと法規制のこの1年」開催のご案内
- The UK is building an alarm system for climate tipping points 気候変動「臨界点」に備え、 英政府が早期警報システム
- A skeptic’s guide to humanoid-robot videos すごすぎる人型ロボット動画、騙されないためのチェックポイント
- How “personhood credentials” could help prove you’re a human online オープンAIやMITが「人間の証明」提唱、AIなりすましに備え