KADOKAWA Technology Review
×
キヤノン電子・酒巻社長の講演が決定!
MITTR主催「宇宙ビジネスの時代」 チケット販売中。
医療用AI普及へブレークスルー「協調機械学習」は何が画期的か?
John Moore | Getty
知性を宿す機械 Insider Online限定
A little-known AI method can train on your health data without threatening your privacy

医療用AI普及へブレークスルー「協調機械学習」は何が画期的か?

大規模なデータを1カ所に集めて訓練する機械学習は、プライバシーが重要視される保健医療分野での適用が難しい状況が続いていた。しかし、患者データを病院外に持ち出すことなくモデルを訓練できる協調機械学習がこうした状況を変える可能性がある。 by Karen Hao2019.04.18

グーグルは2017年、機械学習の新たなアプローチに関するブログ記事をひっそりと公開した。データを1カ所に集約する必要がある標準的な機械学習の手法とは異なり、新手法は複数のデバイスに分散した一連のデータ・ソースによる学習ができる。この発明によりグーグルは、アンドロイド・ユーザーが送受信するすべてのメッセージを実際に読んだり携帯電話から削除したりすることなしに、入力予測モデルを訓練できるようになったのだ。

「協調機械学習(Federated Learning)」と呼ばれるこの手法は、その巧みさにもかかわらず当時の人工知能(AI)コミュニティではあまり注目されなかった。しかしまったく新しい領域での適用方法が見つかったいま、流れは変わろうとしている。プライバシーを第一に優先する協調機械学習は、現在の保健医療界においてAIを導入する上で最大の障害となっていた問題に最適解を与えるものになり得るのだ。

「患者データのプライバシーと、そのデータが持つ社会に対する有用性の間には、誤った二分法があります」。マサチューセッツ工科大学(MIT)で保健医療におけるAIを専門に研究しているラメシュ・ラスカー准教授(コンピューター科学)はこう話す。「人々は状況が変わりつつあることに気づいていません。実際のところ、現在ではプライバシーを確保しながらデータを活用できるようになっています」。

この10年、深層学習の劇的な興隆はさまざまな産業にすばらしい変革を起こした。自動運転自動車の開発を後押しし、デバイスと私たちの関わり方を根本から変え、サイバーセキュリティへの新たなアプローチを生み出した。しかし保健医療分野においては、多くの研究が病気の発見や診断に関してその有効性を示しているにもかかわらず、実際の患者を対象とした深層学習の活用はじれったいほどに遅れている。

現在の最先端のアルゴリズムは、学習のために大量のデータを必要とする。そして大半の場合、データは多ければ多いほど良い。病院と研究機関が大規模かつ多様性を持っ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
宇宙ビジネスの時代

かつて国家主導だった宇宙開発がいま、大きく変化している。テクノロジーの進化とリスクマネーの流入によって民間企業による宇宙開発が加速し、自社の事業拡大に宇宙を活用しようとする「非宇宙」企業やベンチャー企業の動きも活発だ。いまなぜ「宇宙」なのか? そのヒントとなる記事を集めた。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る