KADOKAWA Technology Review
×
パンチカードで
人類初の月面着陸を支えた
最後の数学者の物語
Courtesy of Dennis Sager
コネクティビティ Insider Online限定
Meet the man who helped double-check the sums to keep Apollo 11 safe

パンチカードで
人類初の月面着陸を支えた
最後の数学者の物語

かつてNASAには大型コンピューターが出した計算結果を検算する「RTACF」と呼ばれる施設があった。現在は医師として働くRTACFの最後の職員デニス・セイガーに当時を振り返ってもらった。 by Erin Winick2019.04.16

今年7月に迎えるアポロ11号の月面着陸50周年に向け、MITテクノロジーレビューでは月面着陸を実現した人々のエピソードを紹介していく。今回は、デニス・セイガーの物語だ。最新記事『アポロ11乗組員が月に残した人類初の「足跡」、影の立役者の物語』もぜひ併せて読んでほしい。

宇宙空間において、計算は常に正確でなければならない。つまり大抵の場合、誰かに計算結果をチェックしてもらう必要がある。アポロ計画における計算の大部分は、1フロアを埋め尽くしたIBM製のコンピューター「リアルタイム複合計算機システム(RTCC)」が使われた。しかし、一連の重要なミッションを1つのコンピューターに完全に頼ってしまうことは、米国航空宇宙局(NASA)にとって不十分だった。

そのためNASAは数学の専門家グループを雇い、古き良きパンチカードを使ってメインのコンピューターによる計算結果を再確認させてた。この再確認のための秘密部屋は、「リアルタイム補助計算施設(RTACF)」と呼ばれ、ジェミニ計画と初期のアポロ計画までの期間に稼働していた。デニス・セイガーは、当時テキサス州ヒューストンのビルディング30号棟にあったRTACFで作業にあたった、最年少の専門家の1人だった。

専門家グループは、コンピューターから提出された宿題の採点とともに、ジェミニ・アポロ両計画の不測の事態への備えや状況変化への対応を補助する任務も課されていた。RTCCがロケット打ち上げ前にプログラムやロケットの軌道を固定する一方、RTACFには機敏さが求められた。「私たちは飛行中にもリアルタイムで変更を加えることができました」とセイガーは語る。「事前に想定さえしなかったことでも、対応できたのです」。

セイガーが所属していたグループには、ハリケーンが …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る