KADOKAWA Technology Review
×
Dubai’s Hyperloop Concept Looks Unbelievably Impressive

チューブ型輸送システム「ハイパーループ・ワン」は実現するか?

約161kmを12分で移動できるアイデアは興味深いが、設計の現実性と経済性も無視できない。 by Jamie Condliffe2016.11.10

ハイパーループ・ワン(Hyperloop One)は、ドバイ・アブダビ間での建設を希望しているチューブ状輸送システムに関する構想を発表した。しかし、チューブ状輸送システムに乗客を乗せて走る前に、ハイパーループ・ワンには乗り越えなければならない重要なハードルがいくつかある。

テッククランチによると約161km離れた2都市間の所用時間はわずか12分。コンセプト映像によると、ハイパーループ・ワンの乗車体験は乗車から下車までずっと快適だ。自宅やオフィスから乗客を乗せた自動運転車がハイパーループに向かい、より大きな輸送車両に搭載され、目的地までチューブ内を走る。乗客は移動中にノートPCから目を上げる必要がない、完璧な輸送システムだ。

少なくとも現時点では、できすぎた話だ。ハイパーループの構想が依拠するテクノロジーは理論上は可能だが、実現は難しい。チューブ内の気圧を低くして空気抵抗を減らし、薄い空気のクッションに車両を浮かせて前進させる基本的なアイデアは、理論上は完璧だが、実際には大変な努力が求められる。今年初めにハイパーループ・ワンが実施した最初の公開テストでは、ハイパーループ・ワンは電磁力でようやく屋外の試験軌道に車両を走らせ、テクノロジーが現実とどれほどかけ離れているかを見せただけだった。

実用化の課題を解決できても、ちょっとした価格の問題が残る。最近フォーブス誌はドバイ計画の総費用が48億ドルだと示す資料を見たと報道した。イーロン・マスク(ハイパーループの構想を示した)は当初、ドバイ計画より3倍長いロサンゼルス・サンフランシスコ間の総費用を60億ドルと主張しており、予測よりも明らかに増えている。

世界にはドバイよりも裕福な都市が他にもあるが、ドバイ当局は他の都市よりインフラに多く投資しており、ハイパーループ・ワンがドバイで計画を立てたのは不思議ではない。ただし、ドバイ当局がハイパーループ・ワンのアイデアに納得しているわけではない。テッククランチによると、ドバイ当局はコンサルタント会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーと建築設計会社のビャルケ・インゲルス・グループの設計士に、ハイパーループの実現性を評価させるという。

なお、ハイパーループは経済性と設計に関して超現実的な訴訟に巻き込まれており、ドバイのコンサルタントが審査によって計画に賛同するとは思えないが、ドバイが乗り気ではない、とはいえない。

(関連記事:TechCrunch, Forbes, Wired, “The Hyperloop’s Underwhelming First Public Test,” “Experts Raise Doubts Over Elon Musk’s Hyperloop Dream”)

人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
タグ
クレジット Image courtesy of Hyperloop One
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る