KADOKAWA Technology Review
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When Its Employee Blew the Whistle, Theranos Was Out for Blood

従業員の内部告発に、セラノスが血の復讐

世間を仰天させたベンチャーキャピタルの資金供給者と有力役員は、新会社を作り、自らの過ちを認めないために何でもする準備ができているようだ。 by Jamie Condliffe2016.11.18

私立探偵、40万ドルの裁判費用、著名な政治家家族の不和。新しい恐怖小説の筋書きではない。不運な血液検査スタートアップ企業、セラノスに対する不正告発の余波だ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事に、スリリングな(そして悲しい)セラノスの業績悪化の背景にある内部告発の概要が書かれている。バイオテクノロジー企業セラノスの存在を揺るがす捜査の元になった内部告発者タイラー・シュルツは、ジョージ・シュルツ元国務長官の孫だった。

一気に読み進めたくなるような記事だ。しかし同時に、シリコンバレーでは金と影響力がどのように不快な形で利用されるのかも思い知らされる。

Theranos CEO, Elizabeth Holmes.
セラノスのエリザベス・ホルムズCEO

タイラー・シュルツの話から感じるのは、エリザベス・ホルムズCEOを含むセラノスの上級社員は、自社を誇大に宣伝することに取りつかれていたことだ。 さらに、告発を受けると、セラノスはいじめ、脅迫、巨額の費用をかけた訴訟手続きを通じて内部告発者の口を封じようとした。

ホルムズCEOはスタンフォード大学を中退して2003年にセラノスを創業し、テクノロジーを世に出すことを約束し、針先でチクリと刺すだけで正確な血液検査ができる触れ込みで投資家を口説き、いつの間にかセラノスの市場評価額を90億ドルという目もくらむような規模に膨れあがらせた。ホルムズCEOはさらに影響力の非常に強い政治家(シュルツ氏の祖父、ヘンリー・キッシンジャー、ウィリアム・ペリー、サム・ナンなど)を役員会に招き入れた。

大物を揃えたが、セラノスは利益を出せなかった。結局明らかになったのは、セラノスには、自らが主張していたような技術力はなく、検査結果は常に不正確であり、研究室の管理がまるでなっておらず、米国食品医薬品局(FDA)はホルムズCEOが臨床検査室を運営する許可を取り消すこととなった。代わりに、セラノスが目下希望を託しているのは ポータブル血液検査装置の製造だ。しかし、見通しは暗い。 フォーブス誌の 評価では、セラノスの時価総額はゼロである。

それでもなお、創業初期の投資家には支援し続けている人物もいる。とりわけティム・ドレイパーは創業初期にセラノスに投資したベンチャーキャピタリストで、本人が今週公言した内容によれば、ホルムズCEOは「非常に優れた企業家」であり「消費者のために素晴らしいことを成し遂げた」が「攻撃を受けた」という。ドレイパーは公知になっていない何らかの事実をつかんでいるか、自分が投資先を間違えたことを認めたくないのかどちらかだろう。

タイラー・シュルツは、社会全体の利益を最大限考えて行動を起こしたのだろうが、シュルツの家族は今や40万ドルの弁護士費用を抱え込むことになり、弁護士を介して以外、何カ月も祖父とは口をきいてないようだ。

同時に、セラノス自身も、元顧客の薬局チェーン、ウォルグリーン(以前は血液検査サービスを自社で提供していた)から訴訟を起こされている。損害賠償総額1億4000万ドルにのぼる民事訴訟の一環である。原告側が被告になるのだから、興味深いものがある。

 

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クレジット Image courtesy of Wikimedia Commons
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

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