KADOKAWA Technology Review
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Fighting Fires from the Sky, No Pilot Necessary

自律型消火・救助飛行編隊は、自律自動車より早く実用化されそうだ

ロッキード・マーティンはドローンと自律型ヘリコプター編隊を消化と救助活動の任務につかせようとしている。 by Jamie Condliffe2016.11.21

火のあるところに煙が立つ。ドローンは即座に火災現場に向かうだろう。

航空宇宙防衛企業のロッキード・マーティンは、人間の隊員を危険にさらすことなく、連携して消火や救助活動にあたる、何機かの自律型航空機を開発した。ドローン編隊の陣容は、監視活動にあたる小さなドローン2機と、消火活動や火災現場に取り残された人の救助にあたる自律ヘリコプター2機だ。

実際の任務では、まず1機のクアッドコプターが熱と可視光の画像から火災現場の位置を特定し、パイロットなしで飛行できるように改造された輸送ヘリ(消火用の水を現場まで運搬できる)と位置情報を共有する。

Lockheed Martin's autonomous K-MAX helicopter hauling a piece of gear.
作業用機器を運搬中のロッキード・マーティンの自律型ヘリコプター「K-MAX」

その後、固定翼機型ドローンで火災現場に取り残された人を特定する。初期段階で使われるクアッドコプターと同様、固定翼機型ドローンも他の自律ヘリと情報を共有できる。ヘリが救助待ちの人のすぐ近くに着陸し、収容して非難させるのだ。

Wiredによると、ロッキード・マーティンはドローンによる試験を先週実施し、5年以内に自律ヘリコプターによる消火活動を実用化するつもりだ。現実離れしているように思えるが、実現の可能性は高い。自律飛行の技術は、たとえば自動車運転よりも発展しているからだ。ロッキード・マーティンの自律型消火・救助編隊は都市部では利用しにくいかもしれないが、山火事への対処なら最適だ。

しかし、規制の問題は残る。最近まで、米国ではお役所仕事のせいで商用ドローンは制約を受けていた。しかし、規制がおおむね撤廃された今でも、航空管制上、自律飛行機は衝突防止機能の搭載が必要だ。こうした運航上の問題が解決されれば、数年後には山火事に対処する消防隊員は前線から引き上げ、代わりにドローン編隊が任務につくことになるだろう。

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クレジット Image courtesy of Lockheed Martin
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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