KADOKAWA Technology Review
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元NATO軍司令官が語る
「戦争」と「テクノロジー」
David Vintiner
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“The West is divided. This is the worst of all worlds.”

元NATO軍司令官が語る
「戦争」と「テクノロジー」

元NATO軍司令官でもある英国のデービッド・リチャーズ将軍は現在の核拡散をめぐる世界の状況やテクノロジーの進化をどう捉えているのか? by Janine di Giovanni2019.11.18

デービッド・リチャーズ将軍は、英国で大きな影響力を持つ軍人の1人だ。英軍参謀総長を務め、さらにはアフガニスタンではNATO軍の司令官だった。だが、将軍の知名度を一気に高めたのは、2000年5月のシエラレオネにおける人道的介入だろう。現場で首都フリータウンを守ると独断し、シエラレオネが大量虐殺に陥るのを防いだ。

リチャーズ将軍に、戦場記者のジャニーン・ディ・ジョヴァンニがインタビューした。彼女はこれまでにボスニア、イラク、アフガニスタン、シリアなどの紛争を取材している。

——シエラレオネでは、数百人もの人を避難させ、反乱軍がフリータウンに入るのを阻止しました。 驚くべき作戦でした。失敗するかもしれないと考えなかったのですか?

戦術的な課題がいくもありましたから、失敗する可能性があることは分かっていました。そしてもちろん、政府に作戦を支持してくれるよう説得する必要がありました。ですが私はその前にシエラレオネには3回行ったことがあり、敵である革命統一戦線(RUF)の問題や性質について十分に把握できていました。運が良ければ作戦を達成できると思っていました。ナポレオンの言葉に「(優秀な将軍よりも)幸運な将軍がよい」というのがあります。そうはいっても、重要なポストに優秀な人材がいたからこそできたことだと思います。失敗すると本気で思っていたら作戦実施に踏み切らなかったでしょう。リスクはありましたが、ギャンブルではなかったのです。

——ですが、命令を受けて実行したわけではない?

ルワンダ虐殺が起こったのが、それほど昔ではないことは意識していました。あのときは、軍の司令官が慎重過ぎて、受けた命令もよくなかった。シエラレオネでは、ルワンダ虐殺のような結果は絶対に避けなければと決意したのです。うまく立ち回れば、少なくともRUFが街に入るのを防ぐことができると思いました。ただ、そうですね、おっしゃる通 …

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