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「ムーンラッシュ」に乗り遅れるな!注目の月ミッション17
NASA
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The 17 biggest lunar missions leading up to NASA’s 2024 moon landing

「ムーンラッシュ」に乗り遅れるな!注目の月ミッション17

宇宙開発と月探査は現在でも大きな名誉と栄光をもたらす事業であると考える人もいるかもしれない。しかし、今、起こりつつある「ムーンラッシュ」に参加している国や企業の多くは、月に埋蔵されている貴重な資源に、誰よりも先にたどり着くことを目的としている。 by Neel V. Patel2020.03.03

2024年に人類を再び月面に送り込むという米国航空宇宙局(NASA)の目標は、達成できるか疑わしい。トランプ政権の強い要請で始まった有人月飛行計画「アルテミス(Artemis)」は、遅延、資金不足、そして具体的な段階的計画の欠落に悩まされている。有人月飛行のミッションは2025年以降に延期される可能性が高い。さもなければ、米議会指導部がさらにもう一度、NASAに有人探査計画の方向転換を強いる可能性がある。

月への旅を計画しているのはNASAだけではない。他にも多くの国や企業が、月資源を巡る新たなゴールドラッシュ「ムーンラッシュ」に便乗しようと躍起になっている。宇宙開発と月は今も変わらず大きな名誉と栄光をもたらすものと考える人もいる。しかし、ほとんどの人にとってムーンラッシュは、誰よりも先に月に埋蔵されている貴重な資源を奪い取ることだ。月面に氷の状態で存在する水は、ロケット推進剤として使えば深宇宙を非常に安価に旅することが可能になる。地球ではとても希少なヘリウム3は将来、宇宙船の燃料に使える可能性がある。最先端テクノロジーに欠かせないレアメタルや貴金属は、地球上のどこよりも月面で簡単に手に入る可能性がある。

今後数年間で、十数件の月ミッションが実行される予定だ。月の周回軌道に乗る計画、月を周回するだけの計画、月面着陸の計画、探査機やその他のロボットを投入して詳細な探査をする計画もある。多くのミッションでは、氷として存在する月の水や他の資源の探査も計画されている。そして、こうしたミッションはすべて、月への入植と、火星に到達するための燃料補給所建設の最初のステップに過ぎない。

NASA:アルテミス1

<2020年後半に打ち上げ予定>

アルテミス1のミッションは、基本的に2つの分野における試験である。1つは、NASAが開発中のスペース・ローンチ・システム(SLS:世界最重量ロケットであり、文字通り、NASAの深宇宙開発ミッションを前進させる)の初めての打ち上げ、もう1つは、有人ミッション用の宇宙船「オリオン(Orion)」の深宇宙での初飛行試験である。オリオンは月周回軌道で6日間を過ごす予定だ。無人飛行試験だが、アルタミス1では多くの低コストの実験が実施される。放射線レベルの測定や着陸時の月ダストの振る舞いなど、月面環境の研究がほとんどである。最も興味深い実験は、月面に存在する水氷の位置をピンポイントで特定しようとする試みだ。

(注意:SLS開発のこれまでの紆余曲折を考えると、打ち上げが2021年にずれ込む可能性がかなり高い)

中国:嫦娥5号と6号

<2020年後半と2023年に打ち上げ予定>

中国の嫦娥(じょうが)月探査計画はとても順調に進んでおり、計画が遅れる兆しはない。成功した場合、嫦娥5号(Chang'e 5)は中国で3回目の月面着陸成功となる。月面着陸を成功させた過去の2回のミッションではローバー(探査車)を派遣したが、今回は中国初のサンプルリターン・ミッション(サンプルを採取して地球に持ち帰る任務)で、地下2メートルの位置から少なくとも2キログラムのサンプルを回収する。嫦娥6号(Chang’e 6)は、基本的に嫦娥5号と同じサンプルリターン・ミッションだが、月の土壌と大気を研究するための科学技術ペイロード(積荷)が追加される可能性が高い。

インド:チャンドラヤーン3号

<2021年に打ち上げ予定>

インドで3回目の月ミッションで、宇宙船を月面着陸させる2回目の試みとなる。昨年、チャンドラヤーン2号(Chandrayaan-2)の着陸船「ヴィクラム(Vikram)」が、降下中に減速できずに月面に衝突し、インド宇宙研究機関は後退を喫した。

この失敗を受けて、チャンドラヤーン3号(Chandrayaan-3)のミッションでは再 …

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