挑戦し続ける義足エンジニア・遠藤 謙がIU35の受賞で学んだこと
MITテクノロジーレビュー主催の世界的なアワード「Innovators Under 35」を2012年に受賞した義足エンジニアの遠藤 謙さんから、若手イノベーターへのメッセージをいただいた。 by MIT Technology Review Japan2020.10.23
才能ある若きイノベーターたちを讃え、その活動を支援することを目的とした、MITテクノロジーレビュー主催の世界的なアワード「Innovators Under 35(イノベーターズ・アンダー35)」。このアワードの、世界で7番目のローカル版として「Innovators Under 35 Japan」が今年初開催される。10月31日まで、公式サイトで候補者の推薦および応募を受付中だ。
Innovators Under 35の日本での開催は今回が初めてだが、グローバル版では世界で活躍する日本人イノベーターもこれまでに選出されている。2012年にInnovators Under 35の前身となる「TR35」を受賞した遠藤 謙さん(株式会社Xiborg代表取締役、ソニーコンピュータサイエンス研究所研究員)もその一人だ。
ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究や、途上国向けの義肢、競技用義足の開発などを手掛ける遠藤さんに、Innovators Under 35 Japan 2020開催に際してメッセージを寄せてもらった。以下に掲載する。
◆◆◆
Innovators Under 35(2012年までは「TR35」)は日本ではあまり知られていませんが、『MIT Technology Review』という科学雑誌が、テクノロジーに関わる領域で今後の活躍が期待される35才未満のイノベーターを毎年35名選出するものです。1999年から始まったということもあり、過去に選出されたイノベーターは今まさに現役で活躍されている方々が多くいらっしゃいます。私自身2012年博士課程を終えた年に受賞し、とても光栄に思っております。
一方で、受賞したからといって、私の人生が劇的に変わるわけではなく、当時やっていたことを今に至るまで粛々と続けてきました。TR35/Innovators Under 35に選出されてもされなくても、世界で活躍されている方々は自分のやるべきことを使命感と熱意を持ってやっています。たまたま審査員の目に留まり、選出されながらどこかに消えていったイノベーターも数多くいます。
私が個人的にTR35に選出されてよかったことは、イノベーターとは、たくさんのアワードをもらうような人ではなく、純粋にテクノロジーが好きであったり、目の前の人を助けたいという気持ちであったりと、自分のやるべきことを愚直かつ楽しみながら遂行できる人である、ということを学んだことでした。
この度はInnovators Under 35の日本版が始まるということで、大変喜ばしいと思うのと同時に、選出された方もされなかった方も含め、多くの若者が世界規模の変革への意欲を掻きたてるようなプロセスの一部になってほしい、と心より願っております。
遠藤 謙(2012年度TR35受賞者)
MITテクノロジーレビューは[日本版]は、才能ある若きイノベーターたちを讃え、その活動を支援することを目的とし「Innovators Under 35 Japan」の候補者を募集中。詳しくは公式サイトをご覧ください。
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- MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]日本版 編集部
- MITテクノロジーレビュー(日本版)編集部